つぶやき/天体ショー2023冬2月

令和5年(2023年)冬2月の星空情報
今年地球から最も遠い満月
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2月は3日が節分、4日が立春です。「暦の上では」が一番実感できる季節でもあります。だって、東京で一番雪が降る時期でもあるんですから。日の入り後に空が十分暗くなった頃、南の空にはオリオン座、おおいぬ座、おうし座など冬の星座が見えています。冬の星座にはたくさんの明るい星がありますので、明るい星を頼りに星座をたどってみましょう。夜が更けると、冬の星座と入れ替わるように、しし座やおとめ座、北斗七星など、春の星たちが東の空から次々と昇ってきます。夕方の西の低空には金星と木星が見えます。また、頭の真上近くには火星が見えます。月が、22日、23日には金星と木星に、28日には火星に近づきます。2月は、オリオン座にある「オリオン大星雲」を見るのに良い時期です。肉眼で見えるほど大きくて明るいガス星雲を、この機会に探してみましょう。

今年、地球から最も遠い満月

2月6日夜
2月6日の満月は、2023年で地球から最も遠い満月です。月は2月4日17時55分に遠地点を通過し、6日の3時29分に満月となります。満月のときの地心距離は約40万6000km、月の視直径は約29分26秒角です。これは今年、月がもっとも近くなる満月、8月31日の35万7000kmと比べて、約5万kmも地球から遠ざかるのです。見た目の大きさ比をイメージでご紹介すると、これくらいです。(クリックで拡大)
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地球の周りを公転する月の軌道は楕円形をしているため、地球と月との距離は一定ではありません。さらに、月の軌道は太陽や地球などの重力を受けて変化しています。そのため、満月や新月のときの距離は、下の図のように毎回異なります。今年最も地球に近い満月は8月31日で、この時の地球からの距離は約35万7000キロkm、月の視直径は約33分26秒角です。今回の満月は、8月31日の満月に比べて視直径が約12%小さい=面積は約22%少ない。(クリックで拡大)
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月が金星、木星に接近

2月22日〜23日夜(日の入り1時間後)
2月の日の入り後の西の低空には、金星が明るく輝いています。金星より高い位置には木星が明るく光っているのが見えます。22日、23日には、新月を過ぎたばかりの細い月がこの2つの惑星に近づき、目を引く眺めとなります。太陽が沈んで薄暗くなってきたら、西の方角が開けた場所で観察してみましょう。22日には、月は金星のすぐ左下にあります。そしてやや上に目を移すと、腕を伸ばした握りこぶしの幅ほど離れた位置に、木星が見つかります。金星も木星も大変明るいため、まだ明るさの残る空でも簡単に見つけることができるでしょう。23日になると月は木星の上にまで移動します。同じ時刻でも月は22日と比べて高度が高くなり、より太く明るくなりますので、前日よりずっと見やすくなっているはずです。(クリックで拡大)
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三日月と地球照

22日の月は、新月の日を1と数えて3日目の月、つまり古くからの言い方では「三日月」です。三日月のような細い月では、月の暗い部分がうっすらと見えていることがしばしばあります。これは、太陽の光が当たっていない部分(月の夜の部分)が地球に照らされているためで、「地球照(ちきゅうしょう)」と呼ばれています。地球照は、月が細いときによく見えます。

冬の1等星を探してみよう

昨年(2022年)12月1日に地球に最接近した火星は、0等前後とまだまだ明るく、大変目につく存在です。日の入りから1時間半ほど経って空がすっかり暗くなった頃、火星は天頂(頭の真上)近くの、冬の星座の中に見えています。冬の星空には、オリオン座のベテルギウスとリゲル、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバランと、多くの1等星が見えています。星図を頼りに、1等星や星座を探してみてはいかがでしょう。(クリックで拡大)
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月の光に負けない火星を見よう

28日には火星に月が近づきます。月は前日の27日に上弦となり、3月7日の満月に向かって明るさを増しています。明るく輝く月の近くで、月の光に負けずに小さな光を放つ火星を見てみましょう。

オリオン大星雲を見つけよう

日の入りから1時間半が過ぎ、空がすっかり暗くなった頃、南の空には冬の星座がたくさん見えています。多くの明るい星がある中に、2つの1等星と2つの2等星が形作るややひしゃげた長方形と、その中心にほぼ等間隔で並ぶ3つの2等星を見つけることができます。オリオン座です。中心の3つの星は「三つ星(みつぼし)」と呼ばれます。
月のない夜に街灯や建物の明かりなどが少ない場所で観察すると、三つ星の下に、三つ星よりもさらに暗い星が縦に3つほど並んでいるのが見えます。こちらは「小三つ星(こみつぼし)」と呼ばれます。
小三つ星の真ん中の星をよく見ると、他の星のように点状ではなく、なんだかぼんやりとにじんだ感じに見えませんか?実は、これは「オリオン大星雲」と呼ばれる、巨大なガスの集まりなのです。2月は、日の入り後1時間半ほどが過ぎ、空が完全に暗くなる頃にオリオン大星雲が南の空の高い位置に見えるため、オリオン大星雲を観察しやすい時期となります。肉眼では小さな雲のように見えるだけですが、望遠鏡や双眼鏡で拡大すると、蝶や鳥が羽を広げたような複雑な形をしていることがわかります。(クリックで拡大)
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恒星が誕生する現場を見よう

星座を形作っている星たちである「恒星」は、宇宙空間に漂うガスが自分の重力で集まって誕生しました。オリオン座のあたりには、目には見えませんが、恒星のもとになるガスの塊がたくさんあります。オリオン座にある多くの青白い恒星たちは、これらのガスから生まれたと考えられています。オリオン大星雲はガスがひときわ濃い部分で、その中では、現在も恒星が誕生し続けています。誕生したばかりの恒星の光が周囲のガスを光らせ、あのような複雑な形を作り出しているのです。
恒星は、見かけの大きさがとても小さく、人の一生よりはるかに長い時間をかけて誕生します。そのため、残念ながら恒星が誕生する瞬間を肉眼で見ることはできません。しかし、その中で起こっていることを想像しながら自分の目でオリオン大星雲を見ていると、なんだか楽しくなりませんか。(クリックで拡大)
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江戸時代の人々は月を見上げるだけで今日が何日なのか知ることができました。三日月は3日、半月は15日、満月が30日です。これは太陽暦を用いる現在とは暦が違うからで、当時は太陽太陰暦を用いていました。1か月は月の満ち干に合わせて29日か30日。1年だと約354日ですね。このズレを放っておくと暦と季節が大きく食い違ってしまうため、太陽の運行を参考にしつつ「閏月」を挿入し、1年を13か月にすることによって暦と季節のずれを正す方法が図られました。ですから、2月が連続2回ある年も生まれたわけです。太陽の高さを見れば大体の季節が分かり、月を見れば日が分かる。なんだか便利そうですね。

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提供:国立天文台

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by u-t-r | 2023-01-24 16:00 | つぶやき

UTR不動産です。八王子の歴史や暮らしをコツコツ取材しています。基本は「現地で直接お話しを聞く!」。地元の話題が多いですが、どうぞお付き合いのほどを。


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