つぶやき/天体ショー2022初冬11月
2022年 11月 01日
令和4年(2022年)初冬11月の星空情報
8日(火)の夜は皆既月食
11月の宵空には、夏から秋の序盤にかけて見頃を迎えた土星と木星が、引き続き目立っています。夜が更けてくると南西に傾く二つの惑星に代わって、火星が頭上高くまで昇ってきます。12月の最接近を控え、ぐんぐん明るさを増していく赤い輝きが際立ちます。11月に最も注目したい現象は、8日に起こる皆既月食です。日本全国で欠け始めから欠け終わりまでを見ることができます。月食の最中には天王星食も起こります。皆既食で赤銅(しゃくどう)色になった月の向こうに天王星が隠れる様子の観察にも挑戦してみたいところです。(クリックで拡大)
月が土星と木星に接近
11月1日(火)〜6日(日)夜20時頃
11月の宵、20時頃の南の空には土星と木星が輝いています。土星は0.7等前後の比較的穏やかな輝きで南西の空に傾きかけ、夜半には沈んでいきます。南中を迎えようとする木星はマイナス2.8等前後という一段と鋭い光で、明るい星の少ない秋の星座の中で飛びぬけて目を引いています。11月の初旬には、離れて並ぶ2つの惑星の近くを月が通り過ぎていきます。1日に上弦の月が土星に近づき、一日ごとに満ちながら東へと移動して、5日には木星の東まで通り抜けます。
皆既月食・天王星食
11月8日(火)18時9分〜21時49分
11月8日の夜、皆既月食が起こります。この月食は、日本全国で観察することができます。南西諸島では部分食の始まり時点での月の高度がまだ低いですが、多くの地域で月の高度がある程度高くなる時間帯に皆既食となり、観察しやすいでしょう。(クリックで拡大)
各地での予報は下の表のとおりです。月は、18時9分から欠け始め、19時16分に皆既食となります。皆既となった月は、「赤銅色(しゃくどういろ)」と呼ばれる、赤黒い色に見えます。皆既食は86分間続いて20時42分に終わり、その後は徐々に月は地球の影から抜けて、21時49分に部分食が終わります。この進行は、どこで見ても同じです。地球の影に対する月の動きはこのようになります。(クリックで拡大)
■月食中の各地での月の高度
月が火星に接近
11月11日(金)夜22時ころ
12月に地球に最接近する火星が、夜半前の東の空で輝いています。昇ってくる冬の星座の明るい恒星の中にあっても、群を抜いた明るさと赤い色で目を引きます。おうし座のアルデバラン、オリオン座のベテルギウスと火星、三角形を形づくって見える色合いの似た恒星と惑星の共演も楽しみましょう。
11日には、月が火星の近くを通ります。最も接近するのは夜半前で、およそ2度の離角(注)(月の視直径の4倍程度)まで近づきます。満月を過ぎた月はまだ明るく、周囲の星をかすませますが、マイナス1.5等に達する火星はその明るさにも負けず、月と並んで見えるでしょう。(クリックで拡大)
月が土星、木星に接近
11月28日(金)〜12月2日(金)夜18時ころ
薄明が終わる頃、南の空やや低いところに、みなみのうお座のフォーマルハウトが南中しています。秋の夜空で唯一の1等星として、孤独な印象から「南のひとつ星」とも呼ばれてきた星ですが、今年は、南東寄りの高いところに木星、そして南西寄りには土星、二つの明るい惑星が加わっています。その近くを、11月の終わりから12月の初めにかけて月が通り過ぎます。29日には、0.8等で輝く土星の南側(見た目では左下側)を月が通っていきます。上弦の前日で半分よりやや欠けた月と土星は、22時頃に並んで沈んでいきます。
さらに東へと移動していく月は、12月の初めにかけて、マイナス2.6等の木星へと近づいていきます。
現在の私たちは、「月食」は地球が太陽と月の間に入り、地球の影が月にかかることで起きる天体現象であることを知っています。かつて、月食や日食は、何か良からぬことが起こる兆しとされ、天変地異や社会的動乱の前触れとされてきました。インド伝統医学のアーユルヴェーダでは、「脳や体の機能が乱れる」、「悪い波動を振りまくもの」とされて、見てはいけない上に、日食・月食の間は水や食料を摂ってもいけないとされました。お隣り中国でも「龍が月を食べている」不吉な現象と考えられていたようです。洋の東西を問わず、不吉であると考えられていたみたいですね。
令和3年(2021年)の天体ショー
冬2月の星空情報「見上げてごらん夜の星を」
春3〜5月の星空情報「季節は巡り星も巡る」
夏6〜7月の星空情報「月がとっても青いから」
秋9〜10月の星空情報「中秋の名月」
冬11〜12月の星空情報「月食と双子座流星群」
令和4年(2022年)の天体ショー
冬1月の星空情報「初日の出」
冬2月の星空情報「カノープス」
春3月の星空情報「月が惑星たちに接近」
春4月の星空情報「月と土星・火星・金星・木星が接近」
春5月の星空情報「明るい2惑星の接近」
初夏6月の星空情報「惑星直列」
夏7月の星空情報「天体食とスーパームーン」
夏8月の星空情報「ペルセウス座流星群」
初秋9月の星空情報「中秋の名月」
秋10月の星空情報「水星がくっきり」
初冬11月の星空情報「8日(火)の夜は皆既月食」
8日(火)の夜は皆既月食
11月の宵空には、夏から秋の序盤にかけて見頃を迎えた土星と木星が、引き続き目立っています。夜が更けてくると南西に傾く二つの惑星に代わって、火星が頭上高くまで昇ってきます。12月の最接近を控え、ぐんぐん明るさを増していく赤い輝きが際立ちます。11月に最も注目したい現象は、8日に起こる皆既月食です。日本全国で欠け始めから欠け終わりまでを見ることができます。月食の最中には天王星食も起こります。皆既食で赤銅(しゃくどう)色になった月の向こうに天王星が隠れる様子の観察にも挑戦してみたいところです。(クリックで拡大)
月が土星と木星に接近
11月1日(火)〜6日(日)夜20時頃
11月の宵、20時頃の南の空には土星と木星が輝いています。土星は0.7等前後の比較的穏やかな輝きで南西の空に傾きかけ、夜半には沈んでいきます。南中を迎えようとする木星はマイナス2.8等前後という一段と鋭い光で、明るい星の少ない秋の星座の中で飛びぬけて目を引いています。11月の初旬には、離れて並ぶ2つの惑星の近くを月が通り過ぎていきます。1日に上弦の月が土星に近づき、一日ごとに満ちながら東へと移動して、5日には木星の東まで通り抜けます。
皆既月食・天王星食
11月8日(火)18時9分〜21時49分
11月8日の夜、皆既月食が起こります。この月食は、日本全国で観察することができます。南西諸島では部分食の始まり時点での月の高度がまだ低いですが、多くの地域で月の高度がある程度高くなる時間帯に皆既食となり、観察しやすいでしょう。(クリックで拡大)
各地での予報は下の表のとおりです。月は、18時9分から欠け始め、19時16分に皆既食となります。皆既となった月は、「赤銅色(しゃくどういろ)」と呼ばれる、赤黒い色に見えます。皆既食は86分間続いて20時42分に終わり、その後は徐々に月は地球の影から抜けて、21時49分に部分食が終わります。この進行は、どこで見ても同じです。地球の影に対する月の動きはこのようになります。(クリックで拡大)
■月食中の各地での月の高度
月の出 | 部分食の始まり 18時09分 | 皆既食の始まり 19時16分 | 食の最大 19時59分 | 皆既食の終わり 20時42分 | 部分食の終わり 21時49分 | |
札幌 | 16時10分 | 20.2度 | 32.3度 | 39.9度 | 47.1度 | 57.1度 |
仙台 | 16時22分 | 19.5度 | 32.5度 | 40.7度 | 48.7度 | 60.1度 |
東京 | 16時32分 | 18.3度 | 31.7度 | 40.2度 | 48.6度 | 61.0度 |
京都 | 17時14分 | 15.0度 | 28.4度 | 37.1度 | 45.6度 | 58.5度 |
福岡 | 17時14分 | 10.4度 | 23.9度 | 32.7度 | 41.5度 | 54.9度 |
那覇 | 17時37分 | 20.7度 | 20.7度 | 30.1度 | 39.5度 | 54.3度 |
月が火星に接近
11月11日(金)夜22時ころ
12月に地球に最接近する火星が、夜半前の東の空で輝いています。昇ってくる冬の星座の明るい恒星の中にあっても、群を抜いた明るさと赤い色で目を引きます。おうし座のアルデバラン、オリオン座のベテルギウスと火星、三角形を形づくって見える色合いの似た恒星と惑星の共演も楽しみましょう。
11日には、月が火星の近くを通ります。最も接近するのは夜半前で、およそ2度の離角(注)(月の視直径の4倍程度)まで近づきます。満月を過ぎた月はまだ明るく、周囲の星をかすませますが、マイナス1.5等に達する火星はその明るさにも負けず、月と並んで見えるでしょう。(クリックで拡大)
月が土星、木星に接近
11月28日(金)〜12月2日(金)夜18時ころ
薄明が終わる頃、南の空やや低いところに、みなみのうお座のフォーマルハウトが南中しています。秋の夜空で唯一の1等星として、孤独な印象から「南のひとつ星」とも呼ばれてきた星ですが、今年は、南東寄りの高いところに木星、そして南西寄りには土星、二つの明るい惑星が加わっています。その近くを、11月の終わりから12月の初めにかけて月が通り過ぎます。29日には、0.8等で輝く土星の南側(見た目では左下側)を月が通っていきます。上弦の前日で半分よりやや欠けた月と土星は、22時頃に並んで沈んでいきます。
さらに東へと移動していく月は、12月の初めにかけて、マイナス2.6等の木星へと近づいていきます。
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現在の私たちは、「月食」は地球が太陽と月の間に入り、地球の影が月にかかることで起きる天体現象であることを知っています。かつて、月食や日食は、何か良からぬことが起こる兆しとされ、天変地異や社会的動乱の前触れとされてきました。インド伝統医学のアーユルヴェーダでは、「脳や体の機能が乱れる」、「悪い波動を振りまくもの」とされて、見てはいけない上に、日食・月食の間は水や食料を摂ってもいけないとされました。お隣り中国でも「龍が月を食べている」不吉な現象と考えられていたようです。洋の東西を問わず、不吉であると考えられていたみたいですね。
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国立天文台令和3年(2021年)の天体ショー
冬2月の星空情報「見上げてごらん夜の星を」
春3〜5月の星空情報「季節は巡り星も巡る」
夏6〜7月の星空情報「月がとっても青いから」
秋9〜10月の星空情報「中秋の名月」
冬11〜12月の星空情報「月食と双子座流星群」
令和4年(2022年)の天体ショー
冬1月の星空情報「初日の出」
冬2月の星空情報「カノープス」
春3月の星空情報「月が惑星たちに接近」
春4月の星空情報「月と土星・火星・金星・木星が接近」
春5月の星空情報「明るい2惑星の接近」
初夏6月の星空情報「惑星直列」
夏7月の星空情報「天体食とスーパームーン」
夏8月の星空情報「ペルセウス座流星群」
初秋9月の星空情報「中秋の名月」
秋10月の星空情報「水星がくっきり」
初冬11月の星空情報「8日(火)の夜は皆既月食」
by u-t-r
| 2022-11-01 16:00
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