つぶやき/天体ショー2022初秋9月

令和4年(2022年)初秋9月の星空情報
中秋の名月
つぶやき/天体ショー2022初秋9月_b0123486_12263875.jpg

初秋9月。手紙でしたら「いくぶん残暑も和らぎ~」と、時候の挨拶を枕に書くところですが、暑さはまだまだ続きそう。9〜11月を秋とするのは、気象庁が予報に用いる四季の区分。ちなみに二十四節気で今年は9月8日が「白露」、10日は「中秋の名月」に当たります。「白露」は、草花や木に朝露が宿りはじめる頃に降りた露が光り、白い粒のように見えるところから。日中の暑さも和らぎはじめ、だんだんと秋の気配が深まっていくさまを表しています。「中秋の名月」は、わが国ではススキとお団子でおなじみ。中国では中華三大節のひとつである中秋節として春節、清明節と並ぶ大きなお祭りです。中秋節には家族や親しい友人を招き、月餅を食べ、月を見るという風習がありました。どちらも涼しげな言葉ですが、現在の私たちの実感とはだいぶかけ離れていますよねぇ。

今年の「中秋の名月」は満月

9月10日(土)夜21時頃
令和4年(2022年)の「中秋の名月」は、9月10日です。「中秋の名月」とは、明治5年まで日本で使われていた太陰太陽暦での8月15日の夜に見える月のことを指します。中秋の名月をめでる習慣は、平安時代に中国から伝わったと言われています。今年の「中秋の名月」は満月と同じ日ですが、「中秋の名月」と満月の日付がずれることは、しばしば起こります。「中秋の名月」は太陰太陽暦の日付(新月からの日数)で決まりますが、満月は、太陽、地球、月の位置関係で決まりますし、月の公転軌道が楕円形であり、新月から満月までにかかる日数が13.9日から15.6日と大きく変化することが原因です。(クリックで拡大)
つぶやき/天体ショー2022初秋9月_b0123486_12274742.jpg


満月前後の月が土星と木星に接近

9月7日(水)〜12日(月)夜21時頃
9月10日の中秋の名月の前後にかけて、月が土星、木星に相次いで接近します。
このころの東京では21時頃に土星は南南東の空に、木星は東南東の空に見えています。月は8日(木)に土星の近くに見え、「中秋の名月」の翌日である11日(日)には木星の近くにまで移動します。満月前後の月はたいへんまぶしく見えるのですが、明るい月のそばに輝く2つの惑星を見つけてみてください。(クリックで拡大)
つぶやき/天体ショー2022初秋9月_b0123486_12285372.jpg



月が火星に接近

9月16日(金)〜17日(土)夜
9月7〜12日の土星・木星の接近に続いて、16〜17日には月が火星に接近します。9月中旬の真夜中の東の空には2022年12月に地球最接近となる火星が見えています。火星の明るさはすでに0等級に達しているため、東の空で赤く輝く姿がすぐに目に付きます。ちなみに、0等級とは星の明るさを表わす単位で、1等級よりさらに明るい星です。火星の少し右側には、オレンジ色に輝くおうし座の1等星アルデバランがあります。アルデバランは火星よりもやや暗いものの、赤っぽい2つの星が並んで輝く様子は目を引くことでしょう。アルデバランの周辺は「ヒアデス星団」という星の集団です(ただし、アルデバランは星団には含まれていません)。 ヒアデス星団はおうし座の顔を形作る星団で、V字型に並んだ暗い星を中心に、肉眼で見ても星がまばらに群れている様子がわかります。

月は、16日の夜に火星やアルデバランの近くに見えます。16日の東京での月の出は21時過ぎと遅いため、真夜中を過ぎて日付が17日に変わった頃の方が月の位置が高く、見やすくなります。この日は月、火星、アルデバラン(+ヒアデス星団)が、10度ほどの範囲にあります。また、月よりも少し空の高い位置にあるプレアデス星団(すばる)は、双眼鏡で美しく見える星団です。下弦前の月が近くにあるため、星団の星々を肉眼で見つけることは難しいかもしれません。(クリックで拡大)
つぶやき/天体ショー2022初秋9月_b0123486_12301742.jpg


太陽系最大の惑星、木星の観察シーズン到来

9月27日夜22時頃
太陽系最大の惑星、木星が9月27日に「衝(しょう)」を迎え、これからが見頃となります。衝の頃の木星は約マイナス3等の明るさで輝き、明るい星の少ない秋の星座の領域で、大きな存在感を放っています。明るさの単位にマイナスが付きましたね。1等級よりさらに明るい状態ではマイナスが付きます。ちなみに太陽の明るさはマイナス27等星で、1等星の実に1560億倍!

衝とは太陽系の天体が、地球から見て太陽とちょうど反対側になる瞬間のことです。衝の頃の惑星は、地球との距離が近く見かけの直径(視直径)が大きくなっている、光っている部分を正面から見るため陰になる面積が少ないなどの理由で、明るく見えます。また、日の入りの頃に東の空から昇って真夜中に南中し、日の出の頃に西の空に沈むため、一晩中見ることができます。

望遠鏡を使って木星を観察すると、木星の表面には何本かの縞模様が見えます。また、木星本体から少し離れたところには、4つの衛星が見えます。イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが発見したことから「ガリレオ衛星」と呼ばれています。ガリレオ衛星は木星の周りを公転しているため、時間がたつにつれて位置関係が変わっていく様子を観察することができます。
つぶやき/天体ショー2022初秋9月_b0123486_12313043.jpg


-----------------------------------------------------------------------------------------------

イタリアの物理学者、天文学者ガリレオ・ガリレイは、1610年1月7日に木星の衛星を3つ発見。その後見つけたもう1つの衛星とあわせ、これらの衛星はガリレオ衛星と呼ばれています。「近代科学の父」「天文学の父」とも呼ばれ、また、信仰篤かった彼が異端審問で追及されたのは、権力者たちの権力争いの渦に巻き込まれる中で地動説が口実にされたと言われています。この結果、職を失ったり、軟禁状態での生活を送ったりすることになりました。科学の敵は権力争いだったのですね。

-----------------------------------------------------------------------------------------------
国立天文台

令和3年(2021年)の天体ショー
冬2月の星空情報「見上げてごらん夜の星を」
春3〜5月の星空情報「季節は巡り星も巡る」
夏6〜7月の星空情報「月がとっても青いから」
秋9〜10月の星空情報「中秋の名月」
冬11〜12月の星空情報「月食と双子座流星群」

令和4年(2022年)の天体ショー
冬1月の星空情報「初日の出」
冬2月の星空情報「カノープス」
春3月の星空情報「月が惑星たちに接近」
春4月の星空情報「月と土星・火星・金星・木星が接近」
春5月の星空情報「明るい2惑星の接近」
初夏6月の星空情報「惑星直列」
夏7月の星空情報「天体食とスーパームーン」
夏8月の星空情報「ペルセウス座流星群」
初秋9月の星空情報「中秋の名月」(当記事)

ブログランキング・にほんブログ村へ

by u-t-r | 2022-08-30 16:00 | つぶやき

UTR不動産です。八王子の歴史や暮らしをコツコツ取材しています。基本は「現地で直接お話しを聞く!」。地元の話題が多いですが、どうぞお付き合いのほどを。


by UTR不動産
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31