寺社巡り/長楽寺と白山神社(前編)

八王子最古のお寺、長楽寺(前編)
医王山長楽寺/八王子市川口町335
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八王子市最古のお寺といえば、天平16年(744年)に開山した高尾山薬王院さんですが、末寺で最古なのが文治3年(1187年頃)開山した医王山長楽寺さん。真言宗智山派のお寺さんです。ご本尊は室町時代作の不動明王で、その背後には見事な木造薬師如来坐像が安置されています。そちらは鎌倉時代中期の作で、応永年間に領主川口兵庫介幸季が寄進。八王子でも最古の仏像に属し、昔より別所の薬師様として親しまれてきました。精巧な寄木造りで光背と蓮台を備えており、東京都指定有形文化財(彫刻)に指定されています。

名称:医王山長楽寺
宗派:真言宗智山派
住所:八王子市川口町335

緑豊かな丘陵の奥座敷に

長楽寺さんは、ちょっと分かりにくい場所にあります。一度目はカーナビを使ったのに辿り着けませんでした。正しくは、秋川街道「西田橋」の信号を曲がって道なりに直進。先の突き当たりにあるのが長楽寺さんです。(クリックで拡大)
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目印は「西田橋」の信号と、T字路の交差点角に建てられた「八王子メモリアルパーク」の看板です。(クリックで拡大)
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通ってきた道を振り返ってパチリ!ガードレールのない畑の中の道です。「西田橋」の信号からここまで一直線なので迷うことはないでしょう。
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果樹園の向こう、高台に御本堂が見えてきました。豊かな自然の中に佇むお寺さんです。
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参道から一直線に御本堂へ続く階段。
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斜面に大きな切り株がいくつも残っていました。
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GoogleMapで時間をさかのぼって調べてみたら、2018年6月までは古杉が何本か残っていたようです。かつては森閑とした古杉の中に佇むお堂だったのかもしれません。(クリックで拡大)
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御本堂

階段を上がりきった正面にある御本堂。白壁と黒い構造材とのコントラストが素晴らしい荘厳なお堂です。
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御本堂の扁額は、高尾山薬王院の御貫主様の書によるものでした。
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御本堂の前に木造薬師如来座像の説明板がありました。(クリックで拡大)

東京都指定有形文化財(彫刻)
木造薬師如来座像
所在地
八王子市川口町335番地 長楽寺内
指定:昭和三十七年三月三十一日

複数の材を組み合わせてつくった寄木造で、眼には水晶をはめ込み、表面には漆を塗り金箔を施している。像の高さは、九二・四cm。
作者は不明であるが、鎌倉時代の中期(十三世紀中ごろ)につくられたものと思われる。
地方作ではあるが、像全体の形、顔つきは整っていて美しく、着衣のひだの表現などには鎌倉時代の堅実な技術が認められる。像の背後の光背や仏像の乗る台座も備わり、この時代の代表的なものである。平成二年度に修理された。
平成九年三月三十一日 建設
東京都教育委員会
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木造薬師如来像:八王子仏教会ホームページ「長楽寺」より
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屋根に徳川家ゆかりの葵の御紋が飾られています。徳川三代将軍家光公より九石三斗の御朱印を賜った印でしょう。
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境内は高台にあるので、川口町の街並が見下ろせます。(クリックで拡大)
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「西田橋」から入ってきた道の突き当たりにあるのは芝生の臨時駐車場。普段は閉められているようです。(クリックで拡大)
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お堂

御本堂隣の赤い屋根の建物は、かつて阿弥陀如来像が納められていたお堂です。
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扁額がないので名前はわかりませんが、御本堂と同じ、黒と白の建物です。赤い金属屋根は後年葺き替えられたものだと思います。
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お堂の裏手には古いお墓が並んでいました。
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六道地蔵尊

お堂の横にお地蔵さまが6柱。お地蔵様のお名前は左から順に以下の通り。
天上道 法性地蔵尊
人間道 宝性地蔵尊
修羅道 法印地蔵尊
畜生道 地持地蔵尊
餓鬼道 陀羅尼地蔵尊
地獄道 延命地蔵尊
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説明板によると「六道地蔵尊」だそうです。(クリックで拡大)

六道地蔵尊
世を十に分け下の六つを六道と言う。とかく罪深いわれら六道の衆生は、地獄や餓鬼道に堕ち、永い歳月、滅罪の為め苦を受けねばならない。
地蔵尊は釈尊の付嘱により六道に現われ衆生を救い給う。六道地蔵信仰はすでに平安時代には盛んで、今昔物語(天永元年)にも『一条天皇の長徳四年四月周防・一ノ宮の玉祖神社宮司の玉祖惟高が病死し冥土の曠野で迷い途方にくれた時、六地蔵尊が現われ「我等は汝の生前厚く信仰した六地蔵である。汝は神宮なるも幼時より我が誓願を信じて、ねんごろに信仰してゐた故、今茲に来た。汝は早く本国に帰り、我等の姿を造り敬い祀れ。我等は之より南方に在り」と告げられると生き返ったが、死んでから三日過ぎていた。
早速冥土でお会いした六地蔵の等身大、色彩の像を造り、御堂を建て安置し、開眼供養して六地蔵堂と称した』と有り、其の他各霊験記にも地蔵尊に救われた実話が多い。
六道地蔵尊は、現世利益は勿論、先祖の救済を願うに最もふさわしい菩薩である。
六道の能化の地蔵大菩薩
導びき給え この世 のちの世
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虚空蔵菩薩像

駐車場から階段を上がった高台に虚空蔵菩薩像があります。
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東屋の隣、赤い幟が立っているのが虚空蔵菩薩像の祠です。
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石造りのお堂の中に虚空蔵菩薩像が安置されています。
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お優しそうなお顔立ちでした。
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説明板によると、以下の通り。(クリックで拡大)

虚空蔵菩薩
虚空のように無限に広がる知恵や福徳を持ち、衆生の願いを叶えてくれる尊い菩薩です。悟りを開く道筋を絵図で示した胎蔵界曼荼羅にある虚空蔵院の主尊です。長楽寺では江戸時代より見晴らしの良い飛び地に虚空菩薩像を安置してお祀りしてきました。
尊い十三の仏を「十三仏」と呼び、虚空蔵菩薩は最後の十三番目に挙げられています。最後の法事となる三十三回忌を司り、その導きによって死者は冥界へと旅立っていきます。最後の審判をするという意味では虚空蔵菩薩は法界王とされ、法界王を主尊とする十三仏の石像が境内にあります。
法事の際には十三仏の掛け軸を掲げ、その念仏を唱えました。子供が十三歳になった時、その無事な成長を虚空蔵菩薩に感謝し、合わせて生きていく為の知識や知恵を授かるように、旧暦の三月十三日に親子そろって参拝するのが十三参りです。
虚空蔵菩薩が両手で持った如意宝珠は仏の尊い教えを意味し、信仰によりあらゆる願い事を叶えてくれる功徳があります。丑年、寅年の守り本尊です。
長楽寺は伝承によれば文治三年(一一八七)に創建され、八王子市内で最も古い歴史を持ち、境内白山神社別当寺として徳川三代将軍家光公より九石三斗の御朱印を賜った由緒ある寺です。
平成三十一年三月三十一日

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境内の眺望

駐車場の前から長楽寺さんの境内を撮ってみました。一番の高所は白山神社ですが、ここからでも境内を一望できます。墓所の向こうに御本堂。ガードレールのある坂道は、道路から駐車場まで続いています。(クリックで拡大)
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赤い屋根のお堂。奥に見える芝生広場は臨時駐車場です。(クリックで拡大)
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公共交通機関での交通アクセス

長楽寺への公共交通機関は、「JR八王子駅」北口7番乗場から西東京バス「上川霊園」「武蔵五日市駅」「今熊」行きで、「影沢バス停下車」徒歩約5分です。

境内駐車場

お車で来られる方のために、境内の駐車場をご案内しましょう。通常はこの1か所だけが開放されており、26台駐車可能です。
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まず、長楽寺前の道を突き当たりまで進みます。
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三叉路を右に曲がり、御本堂横の坂道を上っていきます。
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道なりに進むと休憩所の建物があり、駐車場入り口になっています。上に見えるフェンスが駐車場です。
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「医王」という名前に聞き覚えがありました。そういえば、下恩方に醫王寺さんがあったんだった。可愛らしい動物の石像が境内にあるお寺さんです。ちなみに「医王」とは、お医者さんが病人を救うように、仏法を説いて人々の悩みをいやす、という意味があるそう。また、薬師如来の異称でもあります。

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八王子市仏教協会「医王山長楽寺」

長楽寺と白山神社(2話)
前編:八王子最古のお寺、長楽寺(当記事)
後編:高台にある白山神社

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by u-t-r | 2022-09-06 16:00 | 寺社巡り

UTR不動産です。八王子の歴史や暮らしをコツコツ取材しています。基本は「現地で直接お話しを聞く!」。地元の話題が多いですが、どうぞお付き合いのほどを。


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