八王子見て歩記/サクラ保存林/3月末-2

多摩森林科学園のサクラ保存林/3月末-2
第2話:「大きな桜の咲く高台」
柳沢林道〜遠見通り〜山の上あずまや
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「柳沢林道」は大きくカーブして上り坂に入ります。次に訪れるのはカーブの向こうにある「里桜園」。多摩森林科学園の園路はくねくね曲がってたり、上り下りの変化があって歩き飽きません。元は林道だったのかもしれませんね。隣接する試験林は非公開で立ち入り禁止ですが、桜を追っていけば道を外れることはないのでご心配なく。ちょっと歩き疲れたな〜と思ったころに必ずあるベンチがうれしい。桜の期間中だけなのでしょうが、常設トイレ3か所、仮設トイレ3か所とトイレの設置数も十分でした。(クリックで拡大)
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柳沢林道

桜の数も種類も多かった平地を過ぎて「柳沢林道」は坂道に入ります。上りではありますが勾配はゆるやかで歩くのに楽です。ご高齢の方のグループを何組も見かけたので、たぶん小さなお子さん連れでも楽しみながら歩けると思います。あちこちに子どもさんが喜びそうな大きな松ぼっくりも落ちていましたしね。
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入口付近は雑木林です。しばらく桜を見られないのかなと思って振り返ったら、今まで歩いてきた道の桜が上から一望にできました。大きな桜が咲いている高台の道が「彼岸通り」、下の道が「柳沢林道」です。桜沿いのベンチが見えますでしょうか。
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案内図に載っていない場所にもたくさんベンチが置いてあります。飲み物を飲んだり、ちょっと休める場所があちこちにあってうれしい。しかもみんなきれい!園内の整備が行き届いています。
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林道沿いの一角に「チップ置き場」がありました。これは土ではなく、園内の枯れてしまった木や、風や雪で倒れてしまった木を伐採して粉々のチップにして積んでいる場所です。動物や微生物が分解してくれる時間を短縮して堆肥にし、桜のまわりなどに置いて良質な土作りのために役立てているそう。自然循環型のリサイクルです。
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さらにカーブを曲がったところが「里桜園」。窪地に桜が植栽されています。
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1900年に「八重紅枝垂」を母、「染井吉野」を父として交配を行って作られた栽培品種「仙台吉野」。高木に育つ桜です。花は微淡紅色で雄しべの数が70〜100と非常に多いのが特徴。花期は4月中旬です。3月末ではツボミもまだまだ小さい。(クリックで拡大)
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1966年に調布の神代植物園から導入された里桜の栽培品種「神代の天の川」。明治時代の荒川堤にあったもので、各地で栽培されています。花は淡紅色で大輪八重咲き。名前の由来は、多くの桜の枝は横向きに伸びますが、「天の川」はいずれもまっすぐ上向きに伸びることが特徴で、花も上向きに咲きます。この樹形を天の川に見立てました。樹高は大きくても6m程度にしか伸びず、枝も横に広がらないことから小さな庭園や街路樹などに好まれて植栽されている桜です。花期は4月中旬〜下旬なのでまだツボミも小さいです。
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2002年に川津町から導入された「川津町の川津桜」。早咲きの桜だけあって、3月末にはもう葉桜になっていました。それでもところどころに名残りの花が。川津町では毎年2月上旬から咲き始め3月上旬まで楽しめるそうです。(クリックで拡大)
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仮設トイレ

「柳沢林道」の「里桜園」47番標識近くにあった仮設トイレ。園内の仮設はどこもこの形でした。トイレが2基に。
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手洗い場。「この水は飲めません」と書いてありました。園内の井戸水か湧水なのでしょう。
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里桜園

窪地にある「里桜園」に降りて桜を見てみましょう。
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1991年に茨城県結城市から導入された「結城の霧社桜(むしゃざくら)」。台湾中北部の高地に自生する桜で、名の由来は最初に発見された産地のひとつ、台湾中央部の霧社にちなみます。エドヒガンに似ており、同種とする見解もあるそうです。花期は3月中旬〜下旬。あまりに木が高かったので、下の方の枝だけ撮ってきました。もう葉桜です。(クリックで拡大)
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里桜園は園路と桜が離れていたので間近で撮ることができませんでした。里桜「久保の野々宮」、里桜「三島の水晶桜」、カスミザクラ「与野の八重桜」が植栽されています。陽当たりのいい斜面なので一重桜は満開。(クリックで拡大)
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1994年に三島市の遺伝学研究所から導入された里桜「三島の野々宮」。今さらですが、里桜(サトザクラ)って八重桜なんですね。遅咲きなので3月末のこの日はみんなツボミでした。(クリックで拡大)
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近くにあった一重桜はこんなに花をつけていました。(クリックで拡大)
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45番標識のところで折り返しです。「遠見通り」に戻って展望ベンチを目指しましょう。
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1997年に島根県安木市広瀬町の巌倉寺から導入されたマメザクラとエドヒガンの交雑から生まれた四季桜「巌倉寺(いわくらじ)の四季桜」。春のお勤めが終わった後なのか、花の名残りがついた葉桜でした。(クリックで拡大)
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展望ベンチ

「里桜園」を一望できる高台に展望ベンチがありました。すぐ目の前にみごとな枝垂れ桜があるので、皆さん座って休憩です。(クリックで拡大)
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花の咲き方をよく見ると、この枝垂れ桜は1か所から花柄が3本放射状に伸びて花を咲かせているんですね。3本セットで量もたっぷりお買得♪(クリックで拡大)
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ここの展望ベンチのところで「柳沢林道」と「遠見通り」が分離するようです。(クリックで拡大)
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遠見通り

一度上ってしまえば「遠見通り」の園路は平坦な道となります。等高線に沿って歩きやすい道を作ったよう。
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谷を挟んだ桜の向こうにあずまやが見えてきました。園内で最も標高(237m)の高い「山の上あずまや」です。
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このあたりに植栽されている桜は大木になる種類が多いようです。斜面に植えてあるので高い場所にある園路から花が間近に見られます。
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染井吉野の若木です。エドヒガンとオオシマザクラの種間雑種の栽培品種、気象庁の開花予想ではほとんどが染井吉野を観測対象としているなじみ深い桜です。花期は4月上旬〜中旬。一重桜なのに遅めなんですね。
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1968年に富山県黒部市の鶏野(けいの)神社から導入されたエドヒガン「月訪(つきとい)の桜」。越中国司であった大伴家持が、領内巡視の折に黒部の地で夜を明かし、「鶏の音も 聞こえぬ里に 夜もすがら 月よりほかに 訪う人もなし」と詠み、植えられたものと伝わります。たくさんの花をつけていました。(クリックで拡大)
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1968年に兵庫県養父市 蹴石山から導入されたエドヒガン「樽見の大桜」。兵庫県下最大の大桜で、かつては樹高が20mもあったといいます。「仙人の桜」という意味で別名「仙桜」とも呼ばれ、国の天然記念物に指定されています。本当に大きな桜!
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山の上あずまや

先ほど「遠見通り」の途中から見えた「山の上あずまや」。屋根付きでベンチもあるので、お昼を食べるのによい場所です。女性のグループがランチをしていました。
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あずまやのすぐ横にも桜が2本ありました。「江戸」はオオシマザクラとカスミザクラの交雑で生まれた栽培品種。明治時代の荒川堤にあったもので、江戸時代から各地で栽培されていました。花は淡紅色で大輪八重咲きの桜です。花期は4月中旬〜下旬。1968年に京都植物園から導入されたサトザクラ「白山大手毬(はくさん おおてまり)」。名の由来は手毬状に咲くことから。八重で花弁は外側ほど色が濃くなります。どちらもまだツボミでした。(クリックで拡大)
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見晴らしのよい展望ベンチにも桜見物のグループ。皆さんが持っている杖は「森の科学館」で貸し出してくれます。
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林道のちょっと奥まったところに仮設トイレが2基ありました。
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展望ベンチのすぐ近くに植えられていた大きな山桜。東北地方南部〜九州まで分布し、関東・関西の都市部近くにも自生する桜です。桜が好きだった本居宣長は「敷島の 大和心を人問はば 朝日に匂ふ山桜花」の句を詠みました。必ず花と葉が一緒に出る山桜は江戸時代まで日本の桜の代表でした。花期は3月下旬〜4月上旬で、高さ20mに達する高木です。
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「山の上あずまや」にあった10番の案内図です。これから「昭和林道」を通って、「サクラ保存林」の中心である「見返り通り」に出ることにします。緑の花咲く御衣黄はこの先。(クリックで拡大)
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桜の下に咲く紫色の山野草。陽当たりのいい場所を好むタチツボスミレ(立壷菫)です。上を見上げれば桜の花、下を見れば可憐なスミレの花。もうすっかり春になったんですね。
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取材協力:多摩森林科学園

多摩森林科学園のサクラ保存林/3月末(3話)
第1話:「高尾の桜はまだ咲きはじめ」森の科学館〜第2樹木園〜森の管理室〜柳沢林道
第2話:「大きな桜の咲く高台」柳沢林道〜遠見通り〜山の上あずまや(当記事)
第3話:「貴い方の衣色、御衣黄」昭和林道〜見返り通り〜関山ベンチ〜仲通り

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by u-t-r | 2019-04-16 16:00 | 八王子見て歩記

UTR不動産です。八王子の歴史や暮らしをコツコツ取材しています。基本は「直接ご本人に会ってお話しを聞く!」。地元の話題が多いですが、どうぞお付き合いのほどを。


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