八王子の公園/八王子八湧水巡り

八王子の公園-第18話-5
八王子八湧水を巡る
叶谷榎池/子安神社(中野山王)/六本杉公園/片倉城址公園/小宮公園/子安神社/真覚寺/横川弁天池
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八王子の平野部は浅川の扇状地です。背景を北・西・南側に加住丘陵、川口丘陵、恩方丘陵、元八王子丘陵、舟田丘陵、子安丘陵、多摩丘陵など海抜200〜800 メートルほどの丘陵に囲まれ、各丘陵から豊富な湧水が湧き出て、浅川、川口川、山田川、湯殿川、谷地川、大栗川へと流れ込み1級河川多摩川に合流しています。そんな土地柄なので、東京都環境局の「東京の名湧水57選」で叶谷榎池(叶谷町)、子安神社(中野山王)、六本杉公園(子安町)、片倉城跡公園(片倉町)、小宮公園(暁町)の5湧水が選出されています。この5湧水に、子安神社(明神町)、真覚寺(散田町)、横川弁天池(横川町)の3湧水を加えたのが八王子の八にちなんだ八王子八湧水。順にご紹介していきましょう。

叶谷榎池/叶谷町(東京の名湧水57選・八王子八湧水)

叶谷町は八王子市中央部に位置する陣馬街道沿いの住宅地です。そんな閑静な街中にあるのが、叶谷榎池。樹齢数百年を超えるといわれる榎(えのき)の大樹の根元から今もこんこんと水が湧き出ています。昔、野菜を池で洗った「洗い場」が今も残ります。(クリックで拡大)
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子安神社/中野山王(東京の名湧水57選・八王子八湧水)

中野山王の子安神社は、最大湧水量2038リットル/分(毎分2トン強)を記録した市内随一の湧水地。境内の高台には神社のお社があり、階段を降りた下が湧水池になっています。湧き出る水量は圧倒的で、まるで小川のようにサラサラと下流へ流れていきます。近所の方のお話しでは、美味しい水と評判で料理屋さんなどがポリタンク水を汲みに来るそう。(クリックで拡大)
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六本杉公園/子安町(東京の名湧水57選・八王子八湧水)

「水辺のある公園を巡る」でもご紹介した六本杉公園は年間を通して水量が安定した湧水で、最大湧水量201リットル/分を記録しています。水源は八王子駅の南側に位置する子安丘陵からの湧き水です。湧水は地面に浸透した雨水が大元なので、宅地開発や舗装などで供給が断たれると消えてしまいます。八王子市では雨水浸透強化地区を設定して水源確保に努めているそうです。6月になると池の周囲のアジサイが満開になるアジサイ公園でもあります。(クリックで拡大)
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片倉城址公園/片倉町(東京の名湧水57選・八王子八湧水)

国道16号沿いにある片倉城址公園は、アジサイとカタクリの花が楽しめる公園です。豊富な湧水量ゆえ園内あちこちに池があって、水生植物園、ハス池、水車小屋(ちゃんと回っています)まであります。水源は本丸広場から片倉つどいの森公園に至る小比企丘陵に染み込んだ雨水。八王子市で湧水量を計っていない湧水ですが灌水面積からみてたぶん市内で最も水量が多いのではと思われます。近くを流れる湯殿川では大きな鯉の群れを見ることができました。(クリックで拡大)
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駐車場から水車小屋までは舗装されているので歩きやすい。途中にハス池や菖蒲田があります。(クリックで拡大)
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小宮公園/大谷町・暁町(東京の名湧水57選・八王子八湧水)

大谷町と暁町にまたがる小宮公園は、かつて八王子のあちこちにあった里山の風景を今に伝え、雑木林の面影を留める公園のひとつ。公園最奥の谷地にあるひよどり沢から湧き出た湧水が園内を流れ、大谷弁財天を祀る大谷弁天池の水を満たしています。途中は歩きやすい木道が整備されているので、ベビーカーや車いすでも移動が楽です。八王子の公園はバリアフリー化が着々と進んでいるようです。(クリックで拡大)
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木道の終点でもあるひよどり沢の湧水源。デッキのすぐ下から湧水が湧き出ています。(クリックで拡大)
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子安神社/明神町(八王子八湧水)

赤ちゃんに泣き声を競わせる伝統行事「泣き相撲」で有名な八王子駅北口明神町の子安神社。ここにも湧水池があります。境内からほんの1〜2メートル下っただけで、斜面から湧いた水が御神池に流れ込んでいました。池の大きさや水深からみて湧水量が多そうです。(クリックで拡大)
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真覚寺/散田町(八王子八湧水)

アジサイ寺としても有名な真覚寺。湧水は本堂近くの心字池にありました。この池は「真覚寺蛙合戦の旧地」として、八王子市指定旧跡となっています。太平洋戦争前(〜1941年)には、毎年三月の彼岸の頃に前後1週間ほどにわたり、万を超えるヒキガエルが産卵のために集まって雌蛙を求めて雄蛙が争ったといいます。心字池は日本庭園の一部となっていて風情があります。(クリックで拡大)
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横川弁天池/横川町(八王子八湧水)

西八王子駅から歩いて20分ほど。陣場街道沿いにある、一見普通の都市公園のような横川弁天池公園です。目印は大きな木。この木の裏側が低地になっていて湧水の湧き出る横川弁天池になっています。昭和35年(1960年)に日本固有種のトウキョウサンショウウオが戦後初めて見つかりました。江戸中期には池の島に弁天様が祀られていて、周辺ではワサビを栽培し、水車も回っていたといいます。こんなに小さい池なのに、最大湧水量は8月で730リットル/分もあります。(クリックで拡大)
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平成の次の新元号は令和に決まりました。命令の令、巧言令色の令と捉えるとどこか冷たい感じを受けてしまいますが、令嬢・令息と同じ令です。ほかの家のお子さんを敬う気持ち、他人を尊ぶ気持ちの現れと私は考えたいです。昭和・平成・令和と3つの時代を過ごす気分は明治生まれの方も同様の思いをされたことでしょう。なにせわずか15年の間に明治・大正・昭和と3つも元号が変わってしまったのですから。そういえば、昭和の年号が発表された時も「そんな漢字があるのか」との反応があったそうですよ。慣れるまではそんなものなのでしょう。
八王子の湧水はもっともっと長い時間を人々と過ごしてきました。田畑を潤し、人々の飲み水となり。いったいいくつの元号を経験してきたことか。今もきれいな湧き水が八王子の街を走ります。

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公園巡り
第1話:「公園のおもしろ遊具巡り」
第2話:「里山の雑木林を巡る」
第3話:「アドベンチャー体験ができる場所」
第4話:「水辺のある公園を巡る」
第5話:「八王子八湧水を巡る」(当記事)

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by u-t-r | 2019-04-02 16:00 | 八王子の公園

UTR不動産です。八王子の歴史や暮らしをコツコツ取材しています。基本は「現地で直接お話しを聞く!」。地元の話題が多いですが、どうぞお付き合いのほどを。


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