八王子周辺エリア/東京都埋蔵文化財センター展示ホール-1

展示ホール(中編)
常設展示:縄文時代〜弥生時代〜古墳時代
東京都埋蔵文化財センター/展示ホール
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東京都埋蔵文化財センター2階の展示ホールは、中央に企画展示「蒼海(うみ)わたる人々」が配置されて、壁側は常設展示コーナーになっています。多摩ニュータウン開発事業区域内で発見・調査された遺跡は964か所にも上り、3万2千年前からこの丘陵に住んでいた古代人の足跡があちこちに残されていました。常設展示では、旧石器時代からはじまる歴史を多くの遺物とともに解説してありました。


後期石器時代末〜縄文時代草創期

現在の多摩ニュータウン地域で人々が暮らしはじめたのは、今から約3万2千年前、氷河期の終わり頃でした。気候は現在の北海道に近く、主な食料は針葉樹林に住む大型の獣や、川を遡ってくる鮭、草木の実などでした。人々はナウマンゾウやオオツノジカといった獲物を求めて、移動する生活を送っていました。
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展示されていた摩製石斧はどれくらいの切れ味だったのでしょう。実際に石斧を製作〜使用している動画がありましたのでご紹介します。木を切るというより、擦りつぶして倒す感じ。こんなに鈍い切れ味の斧を使うのは、さぞ大変だったことでしょう。
→YouTube:Primitive Technology: Stone Axe(石斧を使うのは3分8秒あたりから)
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縄文時代早期

縄文時代中期になると、地球規模の火山活動が徐々に減り、気候温暖化は一段と進みました。大型動物にかわって増加した、脚の速いイノシシやシカなどの中小の動物が狩猟の対象になりました。このため、弓矢や陥し穴などの新しい狩りの方法が発展しました。また、食料に占める植物の割合も増し、それらを加工するための土器や石器が数多く作られました。
多摩ニュータウン地域では、この頃から竪穴住居が作られはじめます。
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縄文人たちが実際に掘った陥し穴の模型です。
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陥し穴は長さ1.5m、幅1m、深さ2mほどで、底には篠竹などが埋められ、足がからまって逃げられないようになっています。
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八王子市寺沢地域の遺跡では600基以上の陥し穴が見つかっており、けもの道に沿って掘り続けられていたことがわかります。多摩ニュータウン地域では、これまでに1万5千基以上にのぼる陥し穴が発掘されています。うゎ!陥し穴がモグラ叩き状態。(クリックで拡大)

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縄文時代前期

温暖な気候は前期中頃(約6千年前)にピークとなり、海水面は現在よりも3〜5mほど上昇していました(縄文海進)。多摩ニュータウン地域では、発見される住居跡は少ないものの、丘陵のほぼ全域で前期後半の土器が見つかっていることから、丘陵人たちの活動の範囲が拡がっていったことがうかがわれます。
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土器には色々な文様が様々な道具を使って描かれ、石器の種類も増えました。また、玦状耳飾りなどの装身具も作られました。
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縄文時代中期前半

約5千年前、温暖な気候は安定し、獣や魚、山菜や木の実が豊富な落葉広葉樹や照葉樹の大きな森が広がっていました。丘陵人たちは豊かな自然環境を背景に大きなムラを作り、安定した定住生活をするようになりました。ムラには決められた場所に「捨て場」があり、土偶や石棒などのまつりや儀式に使われた道具も発見されています。
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土器の文様にはヘビなどの動物をモチーフにしたものが多く、有孔鍔付土器のような特殊な形の土器も作られます。展示ルーム入口にあったヴィーナス像も、稲城市若葉台のNo.471遺跡で胸部から上が欠けた状態で出土し、別の場所で上半部が見つかり、現在の形に復元されました。(クリックで拡大)
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縄文時代中期後半

南関東で最大規模を誇る八王子市堀之内のNo.72遺跡では、中期後半(約4千500年前)の住居跡が275軒も発見されました。多数の遺物の中には、このムラの人々が遠方のムラの人々とさかんに交流していたことを示すものが含まれています。

例えば、黒曜石は主に中部地方から、ヒスイは北陸地方から運ばれたものです。また、わずかですが近畿・東海・東北地方などの土器も見つかっています。これらの品々のうち、黒曜石やヒスイは、このムラを中継地点として、さらに複数のムラへ運ばれたと考えられています。
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縄文時代後期

多摩ニュータウン地域では、後期前半(約4千年前)までのムラは、少ないながらもみられます。この時期の遺跡からは、石を規則的に並べた配石遺跡などの特殊な遺構やまつりで使われたと思われる道具が多く見つかります。これらの道具には、丘陵人の安寧や豊かさへの祈りが込められているのでしょう。
後期後半になると、人々はなぜかこの丘陵からいっせいに姿を消してしまいます。
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縄文のムラ再現模型

縄文時代コーナーの一角に、多摩丘陵の5千年前の縄文のムラを再現した模型がありました。中央の広場を囲むように、家、倉庫、墓などがめぐり、古い家の跡や建築中の家も見られます。湧水の近くには水場が。川辺には船着場や魚を獲るヤナが。丘陵の斜面には、シカやイノシシを獲る陥し穴も見られます。背景は、丹沢山系と富士山を臨んだ、現在の多摩ニュータウンです。
屋外展示の遺跡庭園「縄文の村」は、当時このような姿だったのでしょう。(クリックで拡大)
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弥生時代

2千数百年前、大陸の影響により、米作りや金属の使用が始まりました。しかし、この新しい文化が関東に伝わるのはやや遅れて、途絶えていた人々の姿がこの丘陵に戻ってくるのは弥生時代中期になってからです。
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中期後半にはムラも出現し、方形周溝墓と呼ばれるリーダーの墓もつくられますが、遺跡は多摩ニュータウン南西部に限られ、その数も多くありません。低地から離れた尾根頂部を生活の場に選んだ理由は何だったのでしょうか。
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古墳時代前期

近畿地方では、大王(おおきみ)を中心とするヤマト政権が各地の豪族との結びつきを強め、支配力を及ぼしていきます。それを示すように、3世紀後半以降、列島各地に前方後円墳などの大きな古墳(墓)がつくられるようになりました。
この多摩丘陵でも、低い墳丘をもつ周溝墓が出現し、南西部では複数のムラが形成されます。ムラでは鉄製農具の普及により農地の開墾が進み、開発が一時的に活発化しました。しかし、ほどなくして人々は再びこの丘陵から姿を消してしまいます。
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古墳時代コーナーに、かまどの復元模型がありました。
この作りかまどは、古墳時代中頃からそれまでの炉に変わって、住居の壁に粘土や土で作られたもので、石や土器、瓦などで補強しているものもあります。最近まで農村などで使われていたかまどの原型です。
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古墳時代後期

多摩ニュータウン地域およびその周辺からは、12群46基の横穴墓が発見されています。横穴墓とは、崖や斜面をくり貫き、内部に河原石などを敷き詰めて墓室を形成したものです。横穴墓は複数で掘削されることが多かったようです。No.313遺跡(東京都多摩市落合)では、墓の入口に大規模な石積みのある横穴墓が発見されました。横穴墓の内外からは、六窓鍔をもつ大刀や鉄鏃をはじめ、遠く静岡県の浜名湖西岸で生産された須恵器大甕やフラスコ形長顎瓶などが発見されました。
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次回は、奈良時代〜鎌倉時代〜江戸時代の常設展示コーナーと、体験コーナーご紹介します。

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No.740遺跡(多摩市唐木田)から発掘された縄文時代早期の土器、深鉢です。なんてきれいな形なんでしょう。美術的センスのある方が作ったのでしょうね。やっぱり、才能は時代を越えるように思います。名もなき縄文人。おそらく愛する家族のためにこしらえた生活土器だったんでしょう。
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取材協力:東京都埋蔵文化財調査センター

東京都埋蔵文化財調査センター展示ホール(3話)
前編:企画展示「蒼海わたる人々」
中編:常設展示:縄文時代〜弥生時代〜古墳時代(当記事)
後編:常設展示:奈良時代〜鎌倉時代〜江戸時代〜体験コーナー

遺跡庭園「縄文の村」(2話)
前編:小田急多摩センター駅〜縄文の村〜復元住居A棟
後編:復元住居C棟の火焚き〜復元住居B棟〜竪穴住居の模型〜湧水

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by u-t-r | 2019-02-12 16:00 | 八王子周辺エリア

UTR不動産です。八王子の歴史や暮らしをコツコツ取材しています。基本は「直接ご本人に会ってお話しを聞く!」。地元の話題が多いですが、どうぞお付き合いのほどを。


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