八王子見て歩記/坂本々店(後編)
2019年 01月 15日
後編:お肉屋さんの舞台裏
坂本々店/八王子市八日町
坂本々店様の店頭です。歩道間際までせり出した冷ケース、色とりどりの商品POP。いかにもお肉屋さんらしい賑やかさです。手作りポスターの「八王子名物 坂本のやき豚」は自家製炭火焼きの焼豚です。12月29日から31日までの年内予約分は、早くも完売してしまったらしい。地元の方でも知っている人は知ってる美味しさなのでしょう。
坂本々店/八王子市八日町
八王子でも生鮮三品の魚屋さん、八百屋さん、お肉屋さんがめっきり減ってしまいましたね。スーパーのパック売りしか知らない世代から見ると、量り売りのお店は馴染みが薄いのかもしれません。創業明治13年の坂本本店様、お店の中はどんな様子なのでしょう。許可をいただいて店内に入室させていただきました。
お肉屋さんといえばコロッケ!
小学生のころ、お肉屋さんの揚げたてコロッケはごちそうでした。買い食いが禁止されていなかった大らかな時代でしたので、お腹が空いた学校帰りはお肉屋さんに寄ったものです。注文を受けてからその場で揚げてくれる、紙に包んではいど〜ぞ!ホカホカコロッケの美味しいことといったら!
男しゃくいものコロッケ90円、豚挽肉と玉ネギのメンチカツ135円、玉ネギと豚肉の串かつ120円、昔なつかしいハムカツ90円、とうもろこしがぎっしりコーンコロッケ90円、やわらか〜いイカフライ90円、豚ロースのトンカツ230円と285円、アジフライ120円。ほとんどの商品が100円以下なんです。(クリックで拡大)
揚げ物売り場を店内から見るとこんな感じ。お肉屋さんの輪ゴム入れは昔からなぜかQBBチーズ缶と決まっておりました。(クリックで拡大)
坂本々店名物、じっくり炭火焼き焼豚
坂本々店様の一番人気は、炭火でじっくり焼いた国産ポークの焼豚です。ちょうど奥様が切り分けているところでした。100グラム400円とリーズナブルなお値段。肩ロース肉の原価だけで半分以上かかってるんじゃないでしょうか。
焼豚の材料となる肩ロースです。柔らかくて旨味が濃い部位で、薄切りにすると美味しいショウガ焼きの食材になります。贅沢にも両端をカットして、美味しい真ん中の部分だけ使っているんだそう。
お肉屋さんのお肉は全部国産
「今はスーパーや宅配など、どこでもお肉が買えるようになりました。肉屋が他と違うのは、牛肉・豚肉・鶏肉すべてが国内産なこと。輸入肉はもちろん、冷凍肉も使いません。わざわざ「国産」と書かないのは、お肉の美味しさは鮮度だって知っているから。そんなの当たり前だと思うのが肉屋なんです。噛んでいるとすぐに味がなくなってしまうお肉とは違います。」
「パック肉のほとんどは下に白いシートが敷いてありますが、あれはお肉から滴ってしまうドリップを吸収するため。誤解されがちですが、ドリップは血ではなく、お肉の美味しさそのもの。旨味が抜けてしまっているんです。鮮度の高いお肉なら滴りません。ドリップシートなんて不要です。」
自家製ポテトサラダ160円、国産牛肉650円、お買得国産牛肉500円、豚みそ漬け1枚200円、豚ひれ肉230円、豚カレー用150円、スペアリブ140円、フランクフルト(大)1,510円、フランクフルト(小)430円、豚肩ロース肉1,100円(500g)。※お肉は100g当たりです。(クリックで拡大)
冷ケースの前に置かれたベンチは、ちょっと腰掛けたり荷物を置ける便利な工夫。昭和時代中ごろまで、お惣菜の材料は食事のたびに買い出しに行っていたものでした。朝はお豆腐屋さん、夕方は魚屋さんやお肉屋さんといった具合です。
豚ロース肉230円、豚すき焼き用(赤身)170円、豚バラ肉190円、銘柄とりもも180円、筋なしささみ120円、とりもも130円、とりてば90円、豚こまにく140円。※お肉は100g当たりです。(クリックで拡大)
店内側から見た冷ケースです。当たり前ですがお肉の値札が見えません。全部憶えていらっしゃるんですね。
大きな冷蔵庫
一般家庭に冷蔵庫が普及する以前から、お肉屋さんには大きな冷蔵庫がありました。タイル張りで天井までの高さの水冷式です。お肉屋さんは鮮度が高いまま肉を切り分けて小売りするので、中はほとんどが冷蔵用。冷凍用はほんの小さなスペースでした。 庫内の壁には冷却用のパイプが何本も取り付けられています。一般家庭の電気冷蔵庫は送風によって庫内を冷却しますが、水冷式は自然循環でやさしく冷やします。庫内の空気が乾燥せず、お肉を新鮮に保てるのが大きな特長。タイル張りなのでコンクリート製かと思ったら、中身はラワン材だそうです。今ではもう作れる職人さんもいなくなったらしい。
冷蔵庫の前にスライサーが置かれていました。大きなお肉のかたまりから薄切りに切り分ける機械です。
そして壁には八幡八雲神社の護符。そういえば、八日町は八王子まつりの下地区。八幡八雲神社の氏子さんが住む街なんですね。ほかに、天界山雲龍寺達磨大師のお札に、熊手も追加。ご利益ありそうです。
おっと!楽しいお話しをお聞きしていたら、そろそろ夕方になってしまいました。お客さまから揚げ物のご注文です。奥様がさっそくフライヤーにタネを入れはじめました。
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坂本様のお店は八日町の交差点のすぐ近くにあります。みずほ銀行のすぐそば。今日の夕食は、お子さん大好き!お肉屋さんのコロッケはいかがでしょう。タマネギを入れ、めんつゆで煮て卵でとじたコロッケ丼なんて絶品ですよ〜。
※坂本々店様は、惜しくも平成31年(2019年)3月に閉店されました。明治〜大正〜昭和〜平成と4つの時代を過ごしたお肉屋さんは令和の直前に歴史の幕を閉ざしました。残念です。
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取材協力:坂本々店/八王子市八日町1-18
TEL.042-622-5046
坂本々店(2話)
前編:明治13年創業のお肉屋さん
後編:お肉屋さんの舞台裏(当記事)
お肉屋さんといえばコロッケ!
小学生のころ、お肉屋さんの揚げたてコロッケはごちそうでした。買い食いが禁止されていなかった大らかな時代でしたので、お腹が空いた学校帰りはお肉屋さんに寄ったものです。注文を受けてからその場で揚げてくれる、紙に包んではいど〜ぞ!ホカホカコロッケの美味しいことといったら!
男しゃくいものコロッケ90円、豚挽肉と玉ネギのメンチカツ135円、玉ネギと豚肉の串かつ120円、昔なつかしいハムカツ90円、とうもろこしがぎっしりコーンコロッケ90円、やわらか〜いイカフライ90円、豚ロースのトンカツ230円と285円、アジフライ120円。ほとんどの商品が100円以下なんです。(クリックで拡大)
坂本々店様の一番人気は、炭火でじっくり焼いた国産ポークの焼豚です。ちょうど奥様が切り分けているところでした。100グラム400円とリーズナブルなお値段。肩ロース肉の原価だけで半分以上かかってるんじゃないでしょうか。
「今はスーパーや宅配など、どこでもお肉が買えるようになりました。肉屋が他と違うのは、牛肉・豚肉・鶏肉すべてが国内産なこと。輸入肉はもちろん、冷凍肉も使いません。わざわざ「国産」と書かないのは、お肉の美味しさは鮮度だって知っているから。そんなの当たり前だと思うのが肉屋なんです。噛んでいるとすぐに味がなくなってしまうお肉とは違います。」
「パック肉のほとんどは下に白いシートが敷いてありますが、あれはお肉から滴ってしまうドリップを吸収するため。誤解されがちですが、ドリップは血ではなく、お肉の美味しさそのもの。旨味が抜けてしまっているんです。鮮度の高いお肉なら滴りません。ドリップシートなんて不要です。」
自家製ポテトサラダ160円、国産牛肉650円、お買得国産牛肉500円、豚みそ漬け1枚200円、豚ひれ肉230円、豚カレー用150円、スペアリブ140円、フランクフルト(大)1,510円、フランクフルト(小)430円、豚肩ロース肉1,100円(500g)。※お肉は100g当たりです。(クリックで拡大)
豚ロース肉230円、豚すき焼き用(赤身)170円、豚バラ肉190円、銘柄とりもも180円、筋なしささみ120円、とりもも130円、とりてば90円、豚こまにく140円。※お肉は100g当たりです。(クリックで拡大)
一般家庭に冷蔵庫が普及する以前から、お肉屋さんには大きな冷蔵庫がありました。タイル張りで天井までの高さの水冷式です。お肉屋さんは鮮度が高いまま肉を切り分けて小売りするので、中はほとんどが冷蔵用。冷凍用はほんの小さなスペースでした。
坂本様のお店は八日町の交差点のすぐ近くにあります。みずほ銀行のすぐそば。今日の夕食は、お子さん大好き!お肉屋さんのコロッケはいかがでしょう。タマネギを入れ、めんつゆで煮て卵でとじたコロッケ丼なんて絶品ですよ〜。
※坂本々店様は、惜しくも平成31年(2019年)3月に閉店されました。明治〜大正〜昭和〜平成と4つの時代を過ごしたお肉屋さんは令和の直前に歴史の幕を閉ざしました。残念です。
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取材協力:坂本々店/八王子市八日町1-18
TEL.042-622-5046
坂本々店(2話)
前編:明治13年創業のお肉屋さん
後編:お肉屋さんの舞台裏(当記事)
by u-t-r
| 2019-01-15 16:00
| 八王子見て歩記