八王子見て歩記/松姫古道を歩く-5
2018年 12月 11日
松姫古道を歩く
第5話:北条氏照の墓所分岐〜標高368mの休息所〜八王子城址・柵門跡
松姫古道も残りわずか。心源院様登山口を出発して、終点は八王子城址の金子丸に出るとお聞きしていました。城址入口近くの御主殿跡と御主殿の滝には行ったことがありますが、なにせ八王子城山(はちおうじしろやま)のてっぺんまでが八王子城址です。けっこう広大なお城なのです。さて、金子丸ってどこにあるんでしょうね。着くのを楽しみに杉木立の道を歩き進めます。この先には、松姫古道で一番の難所が待っています。
北条氏照の墓所分岐
松姫古道から北条氏照の墓所まで行く道は、第4話でご紹介した三叉峠の分岐のほか、標高368mの休息所手前にもありました。落ち葉がつもって滑る坂道を高台へ上がっていきます。
頂上に道標がありました。右「至 富士見台、八王子城址」左「北条氏照墓」。ここの分岐からも北条氏照の墓所に行けるようです。(クリックで拡大)
「北条氏照墓」の上に赤地の注意書きがありました。「このルート、ヤブあり、倒木あり」。や・やめておこう!(クリックで拡大)
標高368メートルの休息所
歩きやすい道とはいえ、山の中ゆえ多少の上り下りはあります。高台が必ずしもベンチのある休息所になっているわけではなく、上ってみてからのお楽しみ。残念ながらここには休息所はありませんでした。
杉林の中を松姫古道が続きます。江戸時代はこんな景色の道が八王子の山間部を何本も横断していました。小峰公園内に残る八王子往還は絹の道とも呼ばれ、五日市と八王子、横浜を結ぶ難路でした。ルートは現在の国道16号線にほぼ沿っていたそうです。ちなみに、松姫古道は昔からあった史蹟ではなく、最近になって作られた遊歩道です。
前方に急坂が見えてきました。
森の中に階段が現われました。
頂上には丸太をかすがいで打ち付けたワイルドなベンチ。
松姫古道で最も高い場所(標高368メートル)にある休息所です。スタート地点の心源院様は標高235メートル。標高差133メートルを歩いて上がりました。八王子駅北口のサザンスカイタワー八王子が41階建てで高さ157.5メートル。計算したら、ここは35階くらいかな。南口の東急スクエアが14階建て(78メートル)ですから、約1.7倍くらいの高さ。マイナーなところでは、浅草タワーが地上129.75メートルでほぼ同じ。知りませんよね。私も検索して初めて知りました。なお、この休息所が設置されたのは2015年(平成27年)3月25日だったようです。(クリックで拡大)
八王子城址から歩いて来た方向けに、心源院様経由でバス停に出られることと、トイレの存在が案内されていました。(クリックで拡大)
松姫古道一番の難所
標高368メートルの休息所を過ぎると、八王子城址はもうすぐ。この先に松姫古道一番の難所が待っています。
標高368メートルの休息所は、島のようになった高台にあるのです。先に歩いていくと、降りる道になるのは分かっていました。ですが…。
道が切れて崖のようになっていました。左の土の固まりは、横倒しになった倒木の根です。(クリックで拡大)
以前は丸太で階段を作ってあったのでしょう。斜面が崩落して、急坂に丸太がゴロンゴロン。
下から見上げると急勾配がよく分かります。斜面が崩落しているので足元も滑って不安定です。スニーカーで歩いていた私は何度か転びました。(クリックで拡大)
木と木の間に標識ロープが張られていたので、つかまりながら下へ降りました。黄色と黒のカラーから、トラ(虎)ロープとも呼ばれるんですってね。足元に丸太階段の名残りがいくつかありました。(クリックで拡大)
瓦礫の岩場
八王子城址まであと少し。代わり映えのしない景色ですが、なんだか、踏み分け道が少し広くなってきたような気がします。
登山口からここまで、ずっと歩きやすい尾根道でした。尾根道は平坦であると同時に、山の頂上部が続いているので木漏れ日が明るく差してきます。
道標にも「尾根道を歩く」とありました。山歩きをあまりしたことがないので、今回初めて尾根道の有り難みを知りました。斜面じゃない歩きやすい道ってことですね、多分。(クリックで拡大)
ゆるやかな傾斜の坂を上がっていきます。遊歩道には木に記された白い帯があるので助かります。
上った先にある高台は瓦礫の岩場になっていました。今までの道にはなかった景色です。
八王子城址・柵門跡
松姫古道の最後にあった道標。「松姫古道(ここから)」と書いてありますね。携帯で撮ったため、画質が悪くてすみません。城址到着寸前にデジ一眼のバッテリーが切れてしまったんです。
瓦礫の岩場を過ぎて杉林の道を歩いていくと、八王子城址はすぐ近くでした。
道に石片が落ちていました。先ほど歩いた瓦礫の岩場あたりから、八王子城址のある八王子城山(はちおうじしろやま)に入っていたのかもしれません。城址の道はどこも岩場ですから。
八王子城址に着いたといっても、建物や石垣の跡はありません。「柵門跡」の案内板が立っているだけでした。
柵門跡の案内板です。(クリックで拡大)
山頂の本丸方面へと続く道の尾根上に築かれた平坦地で、柵門跡と呼ばれています。名前の由来など詳しいことは不明です。
管理棟の通り前に八王子城跡ガイダンス施設があり、八王子城址全体の立体図が展示されていました。観光客がよく行く御主殿跡は管理棟の平地寄り。柵門跡は八王子城址の中腹に位置します。(クリックで拡大)
霊園前・八王子城址入口バス停へ
柵門跡からの帰り道は、坂をずっと降りて管理棟へ抜けるコースです。足元はご覧の通り、ゴツゴツした岩肌でした。(クリックで拡大)
管理棟からすぐ先に高尾駅行きのバス停がありますが、残念ながら運行は土日のみ。この日は平日でしたので、宗関寺の前を通って美山通りまで歩いていきました。管理棟から1.4km。歩いて20分くらいだったでしょう。山歩きのあとだけに疲れました。。中央自動車道の橋の下が「霊園前・八王子城址入口」バス停。日中は1時間に7本以上運行されています。「高尾駅北口」までは4停留所で所要時間約8分、乗車運賃は180円(現金)でした。
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瓦礫の岩場を過ぎた辺りを歩いていたら、森の中から妙齢のご婦人の笑い声が聴こえてきました。たぶん、2〜3人くらいの声だったと思います。あぁ、もうすぐ着くんだなと思って近づいていったら、急に声が止みました。その直後に八王子城址に着いたのです。山菜の季節ではないし、すぐ近くで聴こえたのに、あたりに人影は見当たりませんでした。不思議なことがあるものです。
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取材協力:深澤山心源院(八王子市下恩方町1970)
松姫古道を歩く(全5話)
第1話:高尾駅北口〜心源院〜松姫古道登山口
第2話:第1見晴し台〜切り株の頂上〜倒木の尾根〜向山北砦
第3話:森の中の休息所〜大六天(見晴し台)〜石割松
第4話:三叉峠〜北条氏照の墓所(途中まで)〜つつじ台
第5話:北条氏照の墓所分岐〜標高368mの休息所〜八王子城址・柵門跡(当記事)
松姫古道(1話)
第5話:北条氏照の墓所分岐〜標高368mの休息所〜八王子城址・柵門跡
北条氏照の墓所分岐
松姫古道から北条氏照の墓所まで行く道は、第4話でご紹介した三叉峠の分岐のほか、標高368mの休息所手前にもありました。落ち葉がつもって滑る坂道を高台へ上がっていきます。
歩きやすい道とはいえ、山の中ゆえ多少の上り下りはあります。高台が必ずしもベンチのある休息所になっているわけではなく、上ってみてからのお楽しみ。残念ながらここには休息所はありませんでした。
標高368メートルの休息所を過ぎると、八王子城址はもうすぐ。この先に松姫古道一番の難所が待っています。
八王子城址まであと少し。代わり映えのしない景色ですが、なんだか、踏み分け道が少し広くなってきたような気がします。
松姫古道の最後にあった道標。「松姫古道(ここから)」と書いてありますね。携帯で撮ったため、画質が悪くてすみません。城址到着寸前にデジ一眼のバッテリーが切れてしまったんです。
山頂の本丸方面へと続く道の尾根上に築かれた平坦地で、柵門跡と呼ばれています。名前の由来など詳しいことは不明です。
霊園前・八王子城址入口バス停へ
柵門跡からの帰り道は、坂をずっと降りて管理棟へ抜けるコースです。足元はご覧の通り、ゴツゴツした岩肌でした。(クリックで拡大)
瓦礫の岩場を過ぎた辺りを歩いていたら、森の中から妙齢のご婦人の笑い声が聴こえてきました。たぶん、2〜3人くらいの声だったと思います。あぁ、もうすぐ着くんだなと思って近づいていったら、急に声が止みました。その直後に八王子城址に着いたのです。山菜の季節ではないし、すぐ近くで聴こえたのに、あたりに人影は見当たりませんでした。不思議なことがあるものです。
取材協力:深澤山心源院(八王子市下恩方町1970)
松姫古道を歩く(全5話)
第1話:高尾駅北口〜心源院〜松姫古道登山口
第2話:第1見晴し台〜切り株の頂上〜倒木の尾根〜向山北砦
第3話:森の中の休息所〜大六天(見晴し台)〜石割松
第4話:三叉峠〜北条氏照の墓所(途中まで)〜つつじ台
第5話:北条氏照の墓所分岐〜標高368mの休息所〜八王子城址・柵門跡(当記事)
松姫古道(1話)
by u-t-r
| 2018-12-11 16:00
| 八王子見て歩記