八王子の公園/湧水巡り1

八王子の公園-第14話-八王子湧水巡り1
八王子湧水めぐりマップ
八王子八湧水と東京の名湧水57選
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水辺には人を引きつける魅力があると思うんです。水面をアメンボがスイスイ泳ぐ、鮮やかな錦鯉が人の気配にエサを求めて寄ってくる。せせらぎの音は日常の忙しさの中でザワザワしてしまった心を落ち着かせてくれます。

八王子は湧き水が豊富な土地柄です。浅川の扇状地を北・西・南側に加住丘陵、川口丘陵、恩方丘陵、元八王子丘陵、舟田丘陵、子安丘陵、多摩丘陵など海抜200〜800 メートルほどの丘陵に囲まれ、各丘陵から湧き出た水は浅川、川口川、山田川、湯殿川、谷地川、大栗川へと流れ込み1級河川多摩川に合流しています。湖や大きな池こそありませんが、八王子にも水辺の景色を楽しめる場所がきっとあるはず。

地元の水ではじまった八王子の水道事業

昭和3年(1928年)9月1日に1日最大配水量6,700立方mで始まった八王子市の水道事業、初期には地元の伏流水が市民48,617人(当時)の水を賄っていました。その後も新たな浄水場が次々に建設されて、深井戸を水源として開発しながら昭和46年(1971年)には最後の北野配水場が完成し、新たに1日37,000立方mを市内に給水しはじめます。八王子市水道八十年の歩みによると、こうして昭和45年(1970年)まで八王子は100%地元の水でまかなっていたようです。

しかし、八王子にはもう新たに開発できる自己水源はなくなり、東京都からの分水を水源にせざるを得ませんでした。平成17年(2005年)3月。東京都による直営化を推進するために「多摩地区水道経営改善計画」を策定、平成18年(2006年)4月1日には全面移行。平成20年(2008年)4月。八王子市水道部は廃止され、水道事業は東京都水道局になりました。つまり、昭和3年(1928年)から平成20年(2008年)3月までの80年間は市内の井戸水だけで八王子の水道事業が継続されてきたのでした。
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八王子湧水めぐりマップ

今から8年前の平成20年(2008年)、市内の湧水を八王子の「八」にちなんで8か所選んだ「八王子湧水めぐりマップ」が発行されました。企画・編集は多摩美術大学環境デザイン学科の渡部研究室様。発行は八王子市まちづくり計画部都市計画室様。市政90周年特別企画として「調査研究の部」最優秀賞に選ばれました。
→八王子湧水めぐりマップ【八王子市役所水循環部水環境整備課】

選定された湧水は、子安神社(明神町)、六本杉公園(子安町)、片倉城跡公園(片倉町)、真覚寺(散田町)、横川弁天池(横川町)、叶谷榎池(叶谷町)、子安神社(中野山王)、小宮公園内の大谷弁天池の8か所です。水循環部水環境整備課様の平成25年度調査によると、八王子市内全体では62か所の湧水が確認されているそうですよ。(クリックで拡大)
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このうち、叶谷榎池(叶谷町)、子安神社(中野山王)、六本杉公園(子安町)、片倉城跡公園(片倉町)、小宮公園(暁町)の5か所は東京都環境局の「東京の名湧水57選」にも選ばれています。前後賞でダブル当選!
→東京の名湧水57選【東京都環境局】
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八王子市の湧水量調査

「八王子湧水めぐり」の8湧水について八王子市役所様にお聞きしたところ、8つのうち4か所の湧水について湧水量調査を行っているそうです。調査内容を快く公開してくださいました。4か所の湧水とは、六本杉公園(子安町)、子安神社(中野山王)、叶谷榎池(叶谷町)、横川弁天池(横川町)です。

湧水量は湧水地ごとにかなり変わります。最大は子安神社(中野山王)の2038リットル/分、最小は叶谷榎池(叶谷町)の41リットル/分。(クリックで拡大)
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また、季節によっても変動します。たとえば六本杉公園の場合、一番少ない4月が56リットル/分、最も多い8月では201リットル/分といった具合。(クリックで拡大)
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八王子市役所様も湧水の保護にはずいぶんご苦労されています。湧水地そのものの管理だけでは不足で、周辺の環境整備にも気をつけないと湧水が枯れる心配があるそう。

たとえば叶谷榎池・泉町湧水群の場合ですが、安定した水量を確保するために雨水浸透を進めると効果が高い地区を調査(平成23年12月から平成24年3月)し、調査結果を基に3町会をエリアとした雨水浸透強化地区を設定(平成24年4月)しました。雨水浸透強化地区では市設置型による雨水浸透ますの設置を進めています。強化地区以外でも、雨水浸透施設設置補助制度により設置費用の一部を補助しています。(クリックで拡大)
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次回から八王子名湧水八選を順に回っていきます。

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湧水が枯れるといえば、思い出すのは台町の御所水弁財天です。かつては御所水の里として丘陵から清れつな湧き水がこんこんと流れだし、かなり大きな沼地があったところです。近所にお住まいの方にお聞きしたら、住宅開発の進行とともに湧水量が減っていき、今では参道のまん中に排水溝が通っているだけになってしまったそう。
台地の崖の前面から湧出する崖線タイプの湧水の場合、涵養域は0.1〜1km程度といわれていますから、雨水の浸透が減少したら枯れてしまうこともあるのでしょう。
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取材協力:八王子市役所水循環部水環境整備課

八王子湧水巡り(全14話)
湧水巡り-1:「八王子湧水めぐり」(当記事)
湧水巡り-2/子安神社(中野山王)前編:「池の淵から澄んだ水が次々と」
湧水巡り-3/子安神社(中野山王)後編:「木立の中のお社」
湧水巡り-4/横川弁天池(横川町):「錦鯉が泳ぐ湧水の池」
湧水巡り-5/叶谷榎池(叶谷町):「樹齢数百年を超える榎と湧水」
湧水巡り-6/六本杉公園(子安町):「アジサイの花に囲まれた湧水」
湧水巡り-7/真覚寺(散田町)前編:「湧水の庭園と蛙合戦の伝説」
湧水巡り-8/真覚寺(散田町)後編:「観音堂と高宰神社」散田町
湧水巡り-9/子安神社(明神町)前編:「御神池と安産祈願の底抜け柄杓」明神町
湧水巡り-10/子安神社(明神町)後編:「境内にある十二社のお社」明神町
湧水巡り-11/片倉城址公園(片倉町)前編:「水車が回る菖蒲田」
湧水巡り-12/片倉城址公園(片倉町)後編:「湯殿川沿いを散歩」
湧水巡り-13/小宮公園(大谷町・暁町)前編:「大谷沢と大谷弁天池」
湧水巡り-14/小宮公園(大谷町・暁町)後編:「雑木林の谷地にある湧水」

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by u-t-r | 2016-11-01 16:00 | 八王子の公園

UTR不動産です。八王子の歴史や暮らしをコツコツ取材しています。基本は「直接ご本人に会ってお話しを聞く!」。地元の話題が多いですが、どうぞお付き合いのほどを。


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