八王子見て歩記/松姫さま四百年祭-3

善男善女に送られて
松姫さま四百年祭-3(4月16日心源院)
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4月16日午前9時46分、桜の花が満開です。ささやくような小鳥たちの鳴き声が響く心源院の静かな境内。1週間の間、心源院に里帰りされていた松姫さま。若き日に修行の日々を過ごしたお寺を後に信松院へ帰る日がやってきました。ホームページやパンフレットなどでお知らせしていなかったのですが、熱心な参拝者が朝から何人も訪れていました。

心源院の最寄り停留所は、西東京バス「川原宿大橋」バス停です。高尾駅北口から「陣場高原下」を含め4系統のバスが出ていて、9時台の時刻表を見ると1時間に9本もありました。皆さん、最寄り停留所を調べて歩いて来られたのですね。
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AM10:23 開場

午前10時19分。法要開始前の本堂。お輿から降りた松姫さまが静かに鎮座されていました。正午から始まる甲州街道の松姫大行列に先立ち、お輿だけ先に八日町へ移動したのです。(クリックで拡大)
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大法要前の本堂でご住職一家と総檀家さん数人が着席して参拝者の皆さんをお待ちします。小さなお坊さんはご住職の息子さん、法衣を直しているのは奥様です。可愛かったので、つい撮ってしまいました。
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午前10時23分。総檀家さんが本堂の扉を開かれました。一般参拝者の皆さんを和やかな法要に迎え入れます。
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「さぁどうぞどうぞ!」。勧められたのは松姫さまがよく見える須弥壇(しゅみだん)の真横、あまりにいい席のためか遠慮して入口近くを選ぶ方多数。ご住職が「どうぞご遠慮なく奥へ」と声をかけていらっしゃいました。
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AM10:28 お見送りの法要

午前10時28分。皆さんが着座されたのを確認して、松姫さまお見送りの法要が始まります。ご住職から、1週間の間里帰りされた松姫さまが本日帰られるというご説明がありました。午後に八日町の八王子エルシィ前を出発し、稚児行列とともに八王子の街を信松院へと歩かれます。
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須弥壇の松姫さまに手を合わせるご住職。松姫さまの師匠である卜山禅師は第六世、現ご住職は第三十五世。寛永年間から平成の今日まで、遠く400年を隔てた同門の御縁です。
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お水とお菓子をお供えしたご住職は、読経の後に最上級の挨拶である帰依三宝をされて、「どうぞお召し上がりください」の気持ちをお伝えします。参拝者全員も手を合わせます。
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午前10時40分。法要の後でご住職から法話がありました。武家社会では百回忌法要が済んだ後は、100年ごとに大法要が営まれる習わしがあったそうです。松姫さまが亡くなられて今年で400年。松姫さま座像が次に表に出るのは少なくとも50年後あるいは100年後でしょうとのこと。
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午前10時50分。最後に皆さんで御焼香です。お参りしている方と比べると分かりますが、松姫さま座像はこんなに小さいのです。ふだんは火気厳禁の信松院様宝物殿にいらっしゃる松姫さま。御焼香できる機会はまずありません。
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参拝された方には「参拝記念」がいただけました。
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「参拝記念」の封筒の中には、「松姫様四百回忌里帰り 御開帳 心源院」の散華が入っていました。2枚あるのは、4月9日の里帰りと16日の法要の2回参拝したからです。(クリックで拡大)
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AM11:05 心源院を出発

午前11時1分。つつがなく里帰り大法要が終わり、松姫さまがお帰りになる時間となりました。ご住職と若い僧侶のお二人で抱きかかえるように大切に須弥壇から下ろされた松姫さま座像が本堂を出ます。
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回向柱を通り、参道を抜け…。たくさんの方が一緒に歩いて写真を撮っていました。
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心源院様から八日町までは車で移動です。
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午前11時5分。松姫さまとご住職一行の車が心源院を出ました。1時間後には八日町で稚児行列が出発します。お見送りする参拝者の中には合掌する方、手を振る方が多かったです。
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AM11:10 静けさが戻った心源院

松姫さまとご住職は八日町に。参拝された方も次の会場に移動されました。回向柱と松姫さま・御本尊を結んでいた血脈はほどかれ、心源院様にいつもの静けさが戻りました。
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ほんの1週間前に松姫さまが入ってこられた山門の桜が満開です。天正10年(1582年)の晩秋、心源院の門弟となることを決心された松姫さまがくぐった同じ山門が静かにたたずみます。あの日、松姫さまは確かにここにいらっしゃったんだなと、しみじみ思いました。
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四百年祭の法要に参加された松姫さまですが、この座像が寄贈されたのは没後百回忌法要の時。正徳5年(1715年)頃の作製と考えられています。ふと、百年前の人物の記憶って残るものなのだろうかと考えてみました。祖父母が80代の方だったとして、高祖父の代はさらに60年くらい前。少なくと子どものころ、実際に相手と会った高祖父から聞いているはずです。お顔表がほっそりしていた、目がくりっとしていた、背が高かったなど姿形の特徴はきちんと記憶されて伝えられるでしょう。座像が実際の松姫さまに似ていることはありえます。

美人で有名だった松姫さまは、恩方に逃げ延びてきたころ、地元有力者の息子さんにプロポーズされることもあったそうです。一晩かけて諄々と説いて諦めさせたという逸話が今に残ります。

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取材協力(撮影許可をいただいています):深澤山心源院、金龍山信松院、産千代稲荷

松姫さま四百年祭(全6話)
第1話「四百年ぶりの里帰り」
第2話「修行された地で里帰り大法要」
第3話「善男善女に送られて」(当記事)
第4話「稚児たちをお供に御縁巡り」
第5話「松姫通りを信松院へ」
第6話「四百回忌大法要」

松姫さま(全7話)
→その1「清和源氏の名門武田家の姫君」
→その2「高遠城陥落と兄盛頼の死」
→その3「武田氏滅亡と流転の旅」
→その4「逃避行-甲斐の国を逃れる」
→その5「信松尼となった松姫さま」
→その6「武田家の遺臣たちに慕われて」
→その7「最終話:松姫さまの残されたもの」

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by u-t-r | 2016-08-02 16:00 | 八王子見て歩記

UTR不動産です。八王子の歴史や暮らしをコツコツ取材しています。基本は「直接ご本人に会ってお話しを聞く!」。地元の話題が多いですが、どうぞお付き合いのほどを。


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