八王子の公園/富士森公園-2
2015年 11月 24日
八王子の公園-第11話-2
富士森公園/八王子市台町
慰霊塔〜浅間神社〜平和の像
富士森公園の前身は明治29年(1896年)に建立された忠魂碑を、その後、八王子招魂社と称したのがはじまりです。慰霊塔や平和の像があるのにふさわしい場所というわけですね。八王子市内最古の公園で、古くは「富士森の丘」と呼ばれていました。公園の南側には富士浅間神社と富士塚があり、かつては富士山がよく見えたそうです。
山桜の道
「だんだん広場」から山桜の道を歩いて野球場口へ一度戻ります。
記念碑によると、この桜並木は八王子ロータリークラブが創立10周年記念として昭和44年(1969年)に桜150本を寄贈されたそうです。
野球場裏手を抜ける桜木立の中の気持ちいい散策路でした。
寄贈された桜は日本の国花ヤマザクラです。木にかけられた説明板には「山に生えるサクラの意味でこの名前がつきました。花と葉が同時に開くのが特徴です。奈良県の吉野山をはじめ、多くの名所があります。」とありました。
左に桜並木、右に野球場です。桜の季節には見事な景色になるでしょう。野球場の方から元気な声が聞こえてきました。
高校球児たちのかけ声でした。スコアボードにチーム名が書いてなかったところをみると、練習用に球場を借りたのでしょう。
野球場口に着きました。
慰霊塔
慰霊塔へ向かいます。左は往きに歩いた桜並木、右の階段が慰霊塔に通じる参道です。
参道の途中に一対の石灯籠がありました。建立したのは「在郷軍人会八王子市聯合分会」。在郷軍人会は昭和20年(1945年)に廃止されたので、石灯籠はその前からあったことになります。
藤棚、ツツジ。たくさんの花たちに囲まれるように慰霊塔は立っていました。
慰霊塔は八王子大空襲殉難者265名の慰霊のために、昭和40年(1965年)10月に建立されました。碑文は「西南の役から大東亜戦争に至る殉国の英霊および戦災殉難の霊をここにまつる 昭和四十年十月 八王子市長 植竹圓次」
ツツジの立体的な植え込み。
藤棚は紫色のフジと白色のフジの2種類の花で作られています。慰霊塔前から向かって左に白色、右に紫色の配置です。奥にヤマザクラが見えますね。4月に桜、5月に藤と咲き誇るのでしょう。
浅間(せんげん)神社
藤棚の横に「→平和の像」の道標がありました。浅間神社方向もこちらです。道なりに歩いていってみます。
右の工事フェンスは八王子市民体育館です。耐震補強とバリアフリー化・空調設備の新設などの大規模改修工事を行うため、平成28年(2016年)2月14日まで休館しています。
どこか、長沼公園や小宮公園を思い出させるような緑の中の園路です。
前方に陸上競技場が見えてきました。
石垣に沿って曲がり、階段を上がります。
土盛りの小山の上にお社。浅間神社の御本殿です。御祭神は木花咲耶姫、富士浅間様といいます。慶長年間徳川幕府創立のころ、関東総代官・大久保石見守長安が駿河国浅間神社を分社して、現在の地に高さ約二丈周囲六十間余の塚を築き頂上に浅間神社を勧請したのが起源といわれています。
浅間神社の拝殿は、大正天皇の御大葬の時、多摩御陵に建てられた式典用の建物「大正殿」を下賜され、昭和2年(1927年)12月15日に富士森公園内に移築。昭和28年(1953年)に浅間神社の拝殿として再移築されました。
同じ昭和2年、新宿御苑内に造られた宮廷臨時仮停車場もJR高尾駅の駅舎として移築されました。
拝殿の後にあるのが、大久保長安が築いたという富士塚です。もともとは、この富士塚だけが浅間神社でしたが、後に払い下げられた「大正殿」を拝殿として移築して現在の姿になりました。拝殿と御本殿の間にも鳥居が立つ珍しい配置となっています。
拝殿に浅間神社の由来を説明した説明板がありました。毎年7月31日の宵宮からはじまる例大祭は、大釜に湯を立てる「湯立て」などの神事が行われ、別名:だんご祭りと呼ばれます。この団子を食べる者は暑気にあたらないとの言い伝えのもと、現在でも神社の境内に団子を売る露天が出て、参詣客に「厄除け団子」を売ります。(クリックで拡大)
入口に建つ石灯籠は明治39年(1906年)11月建立。基部は富士山の溶岩を積み上げたものなのでしょう。
明治39年(1906年)建立の日露戦争戦没者慰霊碑。
境内には多くの石碑が立っています。
御大典記念植樹。
平和の像
御大典記念植樹の横に2本の道があります。左側が平和の像へ通じています。
富士森公園の中でもひときわ高い場所に「平和の像」が建てられています。建立されたのは平成5年(1993年)1月。碑文には「八王子市は先の第二次世界大戦において大きな戦禍を被り多くの尊い人命が犠牲になりました このような戦争による悲惨な生活は再び繰り返してはなりません よって非核平和都市宣言十周年にあたり世界の恒久平和を願う市民の平和の象徴としてここに平和の像を建立します 平成五年一月 八王子市」とありました。(クリックで拡大)
像へ上がる階段の脇に小さなプレートが2枚貼られていました。
黒く焼け焦げた右のプレートは昭和20年(1945年)8月6日、原子爆弾の被災を受けた広島市役所旧庁舎の前庭の敷石の一部です。爆心地から1.02kmにあった旧庁舎は、火災のほとぼりがさめると負傷者が次々に訪れ救護所となりました。左は同年8月9日に同じく原子爆弾の被災を受けた長崎市山里国民学校の校舎の壁の一部です。この学校は爆心地から北へ約700mの場所にあり、教師、児童1300人が原爆で亡くなりました。八王子大空襲が8月2日なので、相次いで被災したのでした。(クリックで拡大)
陸上競技場入口
平和の像を降りると、陸上競技場前の園路に出ます。像の近くにはサツキ、下は桜並木と花いっぱいで、戦没者の御霊を慰めているのでしょう。
秋の桜並木は訪れる人も少なくひっそりと。
毎年3月下旬~4月上旬の桜の見ごろには桜祭りが開催されます。屋台もこんなにいっぱい並ぶんですよ。
陸上競技場口に出ました。こちら側が正門になるんでしょうね。
芝生の中に置かれた彫刻のタイトルは「風祭(WIND FESTIVAL)」。白御影石で1976年、小林亮介作です。意味は「秋の収穫を前に、台風を静め豊作を祈るのが『風祭』。祭に不可欠な太鼓を原形に、そこから突き出す三本の角は、響きや人々の願いを表現している。」。
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最近、駅構内などでよく見かけますでしょ?このウネウネうねった手すり。格好いいから付けているのかと思ったら、ちゃんと意味があるみたい。「上る時は力を入れて引っぱりやすく、下りる時は手がすべらずしっかり支える」からだそうです。陸上競技場入口近くに説明板がありました。
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富士森公園(全2話)
第11話:富士森公園-1|八王子市民球場〜富士森児童遊園〜だんだん広場
第11話:富士森公園-2|慰霊塔〜浅間神社〜平和の像(当記事)
富士森公園/八王子市台町
慰霊塔〜浅間神社〜平和の像
富士森公園の前身は明治29年(1896年)に建立された忠魂碑を、その後、八王子招魂社と称したのがはじまりです。慰霊塔や平和の像があるのにふさわしい場所というわけですね。八王子市内最古の公園で、古くは「富士森の丘」と呼ばれていました。公園の南側には富士浅間神社と富士塚があり、かつては富士山がよく見えたそうです。
山桜の道
「だんだん広場」から山桜の道を歩いて野球場口へ一度戻ります。
記念碑によると、この桜並木は八王子ロータリークラブが創立10周年記念として昭和44年(1969年)に桜150本を寄贈されたそうです。
野球場裏手を抜ける桜木立の中の気持ちいい散策路でした。
寄贈された桜は日本の国花ヤマザクラです。木にかけられた説明板には「山に生えるサクラの意味でこの名前がつきました。花と葉が同時に開くのが特徴です。奈良県の吉野山をはじめ、多くの名所があります。」とありました。
左に桜並木、右に野球場です。桜の季節には見事な景色になるでしょう。野球場の方から元気な声が聞こえてきました。
高校球児たちのかけ声でした。スコアボードにチーム名が書いてなかったところをみると、練習用に球場を借りたのでしょう。
野球場口に着きました。
慰霊塔
慰霊塔へ向かいます。左は往きに歩いた桜並木、右の階段が慰霊塔に通じる参道です。
参道の途中に一対の石灯籠がありました。建立したのは「在郷軍人会八王子市聯合分会」。在郷軍人会は昭和20年(1945年)に廃止されたので、石灯籠はその前からあったことになります。
藤棚、ツツジ。たくさんの花たちに囲まれるように慰霊塔は立っていました。
慰霊塔は八王子大空襲殉難者265名の慰霊のために、昭和40年(1965年)10月に建立されました。碑文は「西南の役から大東亜戦争に至る殉国の英霊および戦災殉難の霊をここにまつる 昭和四十年十月 八王子市長 植竹圓次」
ツツジの立体的な植え込み。
藤棚は紫色のフジと白色のフジの2種類の花で作られています。慰霊塔前から向かって左に白色、右に紫色の配置です。奥にヤマザクラが見えますね。4月に桜、5月に藤と咲き誇るのでしょう。
浅間(せんげん)神社
藤棚の横に「→平和の像」の道標がありました。浅間神社方向もこちらです。道なりに歩いていってみます。
右の工事フェンスは八王子市民体育館です。耐震補強とバリアフリー化・空調設備の新設などの大規模改修工事を行うため、平成28年(2016年)2月14日まで休館しています。
どこか、長沼公園や小宮公園を思い出させるような緑の中の園路です。
前方に陸上競技場が見えてきました。
石垣に沿って曲がり、階段を上がります。
土盛りの小山の上にお社。浅間神社の御本殿です。御祭神は木花咲耶姫、富士浅間様といいます。慶長年間徳川幕府創立のころ、関東総代官・大久保石見守長安が駿河国浅間神社を分社して、現在の地に高さ約二丈周囲六十間余の塚を築き頂上に浅間神社を勧請したのが起源といわれています。
浅間神社の拝殿は、大正天皇の御大葬の時、多摩御陵に建てられた式典用の建物「大正殿」を下賜され、昭和2年(1927年)12月15日に富士森公園内に移築。昭和28年(1953年)に浅間神社の拝殿として再移築されました。
同じ昭和2年、新宿御苑内に造られた宮廷臨時仮停車場もJR高尾駅の駅舎として移築されました。
拝殿の後にあるのが、大久保長安が築いたという富士塚です。もともとは、この富士塚だけが浅間神社でしたが、後に払い下げられた「大正殿」を拝殿として移築して現在の姿になりました。拝殿と御本殿の間にも鳥居が立つ珍しい配置となっています。
拝殿に浅間神社の由来を説明した説明板がありました。毎年7月31日の宵宮からはじまる例大祭は、大釜に湯を立てる「湯立て」などの神事が行われ、別名:だんご祭りと呼ばれます。この団子を食べる者は暑気にあたらないとの言い伝えのもと、現在でも神社の境内に団子を売る露天が出て、参詣客に「厄除け団子」を売ります。(クリックで拡大)
入口に建つ石灯籠は明治39年(1906年)11月建立。基部は富士山の溶岩を積み上げたものなのでしょう。
明治39年(1906年)建立の日露戦争戦没者慰霊碑。
境内には多くの石碑が立っています。
御大典記念植樹。
平和の像
御大典記念植樹の横に2本の道があります。左側が平和の像へ通じています。
富士森公園の中でもひときわ高い場所に「平和の像」が建てられています。建立されたのは平成5年(1993年)1月。碑文には「八王子市は先の第二次世界大戦において大きな戦禍を被り多くの尊い人命が犠牲になりました このような戦争による悲惨な生活は再び繰り返してはなりません よって非核平和都市宣言十周年にあたり世界の恒久平和を願う市民の平和の象徴としてここに平和の像を建立します 平成五年一月 八王子市」とありました。(クリックで拡大)
像へ上がる階段の脇に小さなプレートが2枚貼られていました。
黒く焼け焦げた右のプレートは昭和20年(1945年)8月6日、原子爆弾の被災を受けた広島市役所旧庁舎の前庭の敷石の一部です。爆心地から1.02kmにあった旧庁舎は、火災のほとぼりがさめると負傷者が次々に訪れ救護所となりました。左は同年8月9日に同じく原子爆弾の被災を受けた長崎市山里国民学校の校舎の壁の一部です。この学校は爆心地から北へ約700mの場所にあり、教師、児童1300人が原爆で亡くなりました。八王子大空襲が8月2日なので、相次いで被災したのでした。(クリックで拡大)
陸上競技場入口
平和の像を降りると、陸上競技場前の園路に出ます。像の近くにはサツキ、下は桜並木と花いっぱいで、戦没者の御霊を慰めているのでしょう。
秋の桜並木は訪れる人も少なくひっそりと。
毎年3月下旬~4月上旬の桜の見ごろには桜祭りが開催されます。屋台もこんなにいっぱい並ぶんですよ。
陸上競技場口に出ました。こちら側が正門になるんでしょうね。
芝生の中に置かれた彫刻のタイトルは「風祭(WIND FESTIVAL)」。白御影石で1976年、小林亮介作です。意味は「秋の収穫を前に、台風を静め豊作を祈るのが『風祭』。祭に不可欠な太鼓を原形に、そこから突き出す三本の角は、響きや人々の願いを表現している。」。
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最近、駅構内などでよく見かけますでしょ?このウネウネうねった手すり。格好いいから付けているのかと思ったら、ちゃんと意味があるみたい。「上る時は力を入れて引っぱりやすく、下りる時は手がすべらずしっかり支える」からだそうです。陸上競技場入口近くに説明板がありました。
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富士森公園(全2話)
第11話:富士森公園-1|八王子市民球場〜富士森児童遊園〜だんだん広場
第11話:富士森公園-2|慰霊塔〜浅間神社〜平和の像(当記事)
by u-t-r
| 2015-11-24 16:00
| 八王子の公園