八王子の公園/長沼公園-1

八王子の公園-第8話-1
長沼公園/八王子市長沼町
霜降の道〜小鳥たちのコンサートホール
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京王線長沼駅から徒歩約5分。武蔵野の面影を残す雑木林に覆われた丘陵地にあるのが都立長沼公園です。総面積36万2470.35m2。園内は、井戸たわ尾根、西尾根、中尾根、西長泉寺尾根、長泉寺尾根、栃本尾根、野猿の尾根、と尾根が7本ある起伏に富んだ地形です。園路ごとに景観が異なり、山深い雰囲気をかもしだしています。頂上の野猿の尾根に出ると展望園地、こちらからの眺めは絶景です。眼下に流れる浅川(一級河川多摩川の源流のひとつ)、八王子や日野の市街地、天気のいい日は遠く秩父の山々が望めます。

園内の道はよく整備されているため、散策以上山登り以下で良い運動になるとともに、山野草や小鳥たちの声が入園者を楽しませてくれます。主な周遊コースは、長沼駅から5分の長沼口から入る霜降の道、平山口から入る栃本尾根の道、ちょっと分かりにくかった井戸たわ尾根の道と殿ヶ谷戸の道の4ルート。山道にはマムシやスズメバチの注意看板があって少し恐い。

京王線長沼駅〜長沼口

長沼公園の最寄り駅は京王線の長沼駅。エレベーター、エスカレーターとともにユニバーサルデザインの一環として「だれでもトイレ」が設置されています。通勤快速・快速・各駅停車の停車駅で、特急・準特急・急行は通過します。駅前にはコンビニなどのお店がありません。飲み物やお弁当は途中駅か隣の北野駅などで購入しておきましょう。
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改札を出たところの高架支柱に「長沼公園→信号を右へ」の案内板。下半分の公園説明は長沼口の公園入口にも置いてあるパンフレットです。
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高架下を直進、信号のある道路に出ます。
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長沼公園の長沼口まであとはまっすぐ。
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途中、北野街道を横断歩道で渡ります。
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前方の丘陵が長沼公園、森の中に立つ電波塔のあたりが長沼口です。長沼口には駐車場がありません。左は用水路、右は田んぼ。ガードレールがない狭い道なので車で来るのは大変そう。
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用水路に亀がいました。甲羅のカタチからみて多分アカミミガメ。近寄ると大慌てで逃げ出しました。
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田んぼには鴨がスイスイ。のどかな風景だなぁ。
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前方に見える小さな小屋は庚申塚。
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庚申塚は庚申信仰に基づいて建てられた石塔です。人間の体内に三尸虫という虫がいて、寝ている間に天帝にその人間の悪事を報告しに行くのを防ぐため、庚申の日に夜通し眠らないで勤行をしたり宴会をしたりする風習です。石塔に彫られているのは6本の手を持つ庚申の本尊青面金剛像。隣はお地蔵さま。
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道は森の中へと続いています。
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NTTの携帯電波塔のすぐ先に案内板が立っています。
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長沼口

長沼公園に到着。ここはメインの入口である長沼口です。
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案内板に地図入りの説明パンフレットが置かれていました。
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長沼公園の入口は長沼口のほか、無料駐車場のある中谷戸口、日邸団地口、平山口、野猿の尾根道からベルファームスズキ農園(私有地)側から入る入口、野猿峠口、絹ヶ谷口、殿ヶ谷戸口の合計7か所あるようです。(クリックで拡大)
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長沼口は、長沼駅方面、霧降の道、中尾根、西尾根の分岐にあたりますが、この日は路肩および歩道部分の崩落のため、西尾根は通行禁止になっていました。
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霜降の道〜

案内板の前から続く石畳が霜降の道です。近所の小学校が自然教室を開く時に使うのもこの道です。
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フェンスから先は頂上までゆるやかな山道です。全コース舗装されているのはメインルートの霜降の道だけ。
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野辺に咲く可憐なアキノタムラソウ(秋の田村草)。名前に「秋の」とついていますが夏の梅雨時から初秋まで咲く山野草で、Salvia japonica(サルビアジャポニカ)の学名通り、サルビアの仲間です。花言葉は「自然のままのあなたが好き、善良」。
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道は木立の中に入っていきます。夏の強い日差しが遮られた森の中は涼しい。
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〜休憩所

先に休憩所が見えてきました。
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ベンチがあるので少し休憩しましょう。夏場は水分をしっかりとらないと熱中症の心配があります。撮影日は7月14日、梅雨明け前の暑い日でした。
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案内板「長沼公園の地層と分布」によると、長沼公園の地層は今から258万8000年前の第4期前半から0〜50万年前の関東ローム層で成り立っています。最古の地層からは、生物が活動した痕跡、たとえば足跡や摂食の跡、糞などが化石になった「生痕化石」や、動植物の輪郭のみが化石となった「印象化石」の層を見られるそう。(クリックで拡大)

今から500万年前の東京23区と武蔵野は一面の海でした。この海は「古東京湾」と名が付いていて、おおよそ、飯能、青梅、五日市、八王子を結ぶ線に海岸線がありました。八高線多摩川鉄橋の橋脚の下流36メートルの地点から、ほぼ完全な形でクジラの化石が発見されたのは昭和36年(1961年)8月20日のこと。平成13年(2001年)12月には八王子市内の浅川河原でゾウの化石が最初に発見され、平成22年(2010年)には新種のゾウ「ハチオウジゾウ」と認められました。
→太古の八王子「アキシマクジラとハチオウジゾウ」
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〜ヤマユリの道

霜降の道中腹から上は、遊歩道沿いにヤマユリの花が目立つようになります。ヤマユリは日本特産の百合で、明治6年(1873年)のウィーン万博で日本の他のユリと共に紹介され、ヨーロッパで注目を浴びました。
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花言葉は「荘厳、威厳、人生の楽しみ、純潔、飾らない愛」。
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緑のトンネルの中を道は続きます。両側にヤマユリの花が咲いていますね。
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遊歩道にかかるようにヤマユリのつぼみ。誰かが手折れば失われてしまう景色です。地元の皆さんに大切にされているのでしょうね。
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小さな白い花をたくさん咲かせたオカトラノオ(丘虎の尾)。花穂の先端が虎のシッポのように垂れ下がるところから名づけられました。花言葉は「忠実、貞操」。
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梅雨の名残りのアジサイ。日本のガクアジサイが原種です。有名な花言葉は「移り気、浮気」ですが、「辛抱強い愛情、家族団らん」という花言葉もあります。
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〜小鳥たちのコンサートホール

山野草の花を楽しみながら着いたのは、森の中を切り開いた休憩舎です。木立の涼しい影にベンチが配置されています。実は八王子の公園の中で個人的には一番おすすめしたい場所。
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休憩舎は西長泉寺尾根と中尾根に挟まれた谷間にあります。まわりを森の木立に囲まれて雑音や残響もシャットアウト。いわば天然のコンサートホールのような環境です。演奏するのは森の小鳥たち。木々の梢の間から色々な野鳥が美しい音色を奏でます。
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音響効果のいい特等席は遊歩道沿いのベンチです。小鳥たちのコンサートホールのちょうど真ん中になるので、谷の両方から澄んださえずりが聴こえます。
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案内板「長沼公園の散策ルート」には、長沼公園の四季の自然が写真入りで紹介されていました。木の実もさまざまな色と形で、赤い実のガマズミ、アオハダ、ヤマボウシ、カキなど。青い実のカワフタギ、紫の実のムラサキシキブ、ヤマムラサキ、黒い実のナツハゼ、ヒサカキ、ミズキ。これらの実は雑木林で暮らす生きものたちの大切な食べ物です。
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〜大きな切り株

森の中の道は右へ左へと曲線を描き、曲がるたびに景色が少しずつ変わっていきます。この場所も季節ごとに山野草の花が咲くのでしょうね。
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途中、長泉寺尾根への分岐がありました。
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大きな切り株が見えたら、野猿の尾根道までもうすぐです。
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〜野猿の尾根道

頂上付近は笹薮になっています。
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ここにもヤマユリが。全ルートの中で霜降の道に一番多く自生しているようでした。
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木々の間から青空が見えてきました。
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野猿の尾根道に到着しました。
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ブルーベリー農場

頂上の外は私有地になっています。青い旗に「ブルーベリー」の文字がくっきりと。八王子名産のブルーベリー果樹園でした。農園の名前は摘み取りブルーベリー農園「ベルファームスズキ」様。なぜ「ベリー」ではなく「ベル」なのか、お電話でお聞きしても残念ながら分からずじまい。
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ネット越しにブルーベリーを撮らせていただきました。ブルーベリーの実は一度に熟すわけではなく、1本の枝でもまちまちに熟していきます。たぶんこれはラビットアイ。
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次回はブルーベリー農園を出発して、野猿の尾根道経由で栃本尾根から中谷戸まで歩いていきます。

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遊歩道をお掃除されていた男性にお聞きしてみました。「このあたりにマムシは出るんですか?」。霜降の道はアオダイショウやシマヘビこそ多いものの、マムシに出会うのは少ないそうです。マムシで注意しなければいけないことは、足下にいても逃げないヘビであること。気づかずに近よると噛まれる危険が高いそう。「むしろ、これから夏にかけてはスズメバチの方が心配かなぁ」。霜降の道は近隣の小学校が児童を連れてくるので、スズメバチの巣には特に注意していて、見つけしだい撤去されているとか。
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長沼公園(全5話)
→第8話:長沼公園-1|霜降の道「小鳥たちのコンサートホール」(当記事)
→第8話:長沼公園-2|野猿の尾根道「八王子を一望する眺望園地」
→第8話:長沼公園-3|平山口〜栃本尾根「山野草の小道」
→第8話:長沼公園-4|殿ヶ谷の道「木橋の空中回廊」
→第8話:長沼公園-5|井戸たわ尾根「健脚向けの山道」

→八王子の公園|記事一覧

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by u-t-r | 2014-09-02 16:00 | 八王子の公園

UTR不動産です。八王子の歴史や暮らしをコツコツ取材しています。基本は「直接ご本人に会ってお話しを聞く!」。地元の話題が多いですが、どうぞお付き合いのほどを。


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