八王子の公園/片倉城趾公園(後編)

八王子の公園-第3話
片倉城趾公園/八王子市片倉町(後編)
鳥居〜住吉神社〜二の丸〜本橋〜本丸
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前編では道を間違って小比企丘陵の畑に出てしまいました。後編は別ルートで入口から本丸まで歩いてみます。急な階段や坂道がありますが、距離は短く、あっという間に頂上に着きます。まずは住吉神社を目指して参道をGo!

片倉城は歴史的には不明な点が多い城ですが、滝山城趾と造りがよく似たお城だと感じました。片倉城趾の本丸と二の丸(滝山城趾では中の丸)は同じ高さにあり、二の丸が本丸より広く、城主の館でもあったかのようです。また、空堀が他の曲輪よりかなり深いです。両者とも丘陵の端にあって、片方が急な崖になっているところ、下が河や沼地など水があるのも同じです。戦国時代の山城だからでしょうか。サイズ的には、S=片倉城、M=滝山城、L=八王子城といった感じ。SとMは廃城となり、Lサイズの八王子城だけが最後まで残りました。

鳥居

彫刻広場とクロスする横道に鳥居が建っています。この道は本丸下の腰曲輪にある住吉神社の参道です。まるで森の入口のような雰囲気。
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参道を歩いていくと急な階段が見えてきます。この階段の上が住吉神社。説明板によると、鎌倉管領片倉城主 長井大善大夫道広が、応安5年(1372年)に城の鎮守の神として、摂津国(大阪市)住吉大社を勧請したのだそうです。さらに、慶安2年(1649年)10月17日には、徳川三代将軍(徳川 家光)より朱印七石を受けたとのこと。御祭神は上筒男命(うわつつおのみこと)、中筒男命(なかつつおのみこと)、底筒男命(そこつつおのみこと)です。
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参道と急階段

階段の手前で道が2つに別れます。正面は急な階段、右側の道はゆるやかな階段になっています。左=住吉神社、右=城趾と書かれていますが、着くのが神社の表か裏かの違いです。
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急階段を上りきると、石畳の道が神社下へつながっています。
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もうひとつの階段を上ると住吉神社の境内。
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住吉神社

境内右手に手水舎。水盤の水は止めてありました。説明板によると「新編武蔵風土紀稿」などでは応永年間(1394〜1428年)の大江備中守師親の在城を記し、大江氏や大江氏の後裔の長井氏の城郭とされていますが確証はないそうです。築城の主体や年代の特定は困難ですが、深大寺城趾などの他の中世城郭との比較から15世紀後半以降に築城され、16世紀代に廃城となったと推定されています。しかし、城郭としての配置や技法、古川越街道や鎌倉街道と隣接する交通の要衝であることから、小田原北条氏による築城や利用の可能性も指摘されています。
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住吉神社の拝殿です。神社は御神体や祭神が祀られている中心的な建物を本殿と呼び、お賽銭箱が置いてあり参拝する建物が拝殿です。
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拝殿の裏側にあるのが本殿。
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住吉神社には、嘉永4年(1851年)川幡元右衛門泰吉およびその門人が「数学の実力がつきますように」と祈願した、東京で4番目に古い算額が現存しています。
八王子住吉神社の算額で、算額を再現しておりますので、ご興味のある方はどうぞ。
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二の丸

神社の本殿裏手の坂道から二の丸へ入ります。
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森を通り抜けたら青空が見えてきました。片倉城趾の二の丸です。
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二の丸跡は芝生広場になっていました。大きな桜もあるのでお花見の隠れスポットです。
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二の丸の南側と小比企丘陵の間は空堀で分断されています。現在は「つつじ山」と呼ばれており、斜面いっぱいにツツジが植えられていました。向こうに見えるのは畑。前編で道を間違えたと思った場所です。二の丸の南側に出てしまったんですね。
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幅が8~10mほどもある大きな堀ですが、今ではすっかり浅く埋められています。当時はもっと鋭く深い空堀だったことでしょう。
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空堀の端に笹薮が生い茂った曲輪跡があります。後ろ側から二の丸につながる土橋状の通路があり、曲輪自体も空堀に囲まれていることから、虎口(城の出入り口)を守る馬出しではないかといわれています。馬出しは城の出入り口を守るトーチカのような防御陣地です、
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山道のように見えますが、二の丸の虎口跡です。
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本橋

二の丸と本丸の間は橋で結ばれています。現在の橋は公園によくある本物の木を模したコンクリート疑木で造られたもの。当時は、滝山城趾のような木製の引き橋だったと思います。戦の時に橋を曳いてしまい、本丸に登って来れないようにしていたことでしょう。
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今では堀切はすっかり埋まってしまい、深さ2mほどしかありません。斜面もゆるやかで、歩いて渡れます。
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本丸

本丸の広さは二の丸の3分の1ほど。城兵最後の防衛拠点です。平地に建つお城のように天守閣があったわけではないのです。フェンスのちょうど下に住吉神社があります。
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本丸の北側(はす沼側)は急峻な崖になっています。南の二の丸側は深く掘った空堀。片倉城の地形を利用した守りは滝山城と似ていることが分かります。
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本丸に咲く藤の花。古城と藤の組み合わせってよく似合いますね。
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国道16号線への道

住吉神社を階段で降りて右に国道16号線へ出られる道があります。途中で分岐して二の丸や住吉神社裏手まで山道が通っています。
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まっすぐ歩いていくと16号線が見えてきました。右側に城趾へ抜ける山道の入口があります。
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分岐点:住吉神社への道

階段を上がって森の道を歩いてみます。
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畑の横を通り、道は山の中へ続いています。
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竹薮を縫って通る山道。よく整備されていますが誰も歩いていません。
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標識が見えてきました。直進=住吉神社、左折=城趾と書いてあります。まず、住吉神社に向かってみましょう。
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笹の葉が一面に積もったふっかふかの山道。足元から柔らかい感触が伝わってきます。木漏れ日が間接光となって道を明るく照らします。
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住吉神社の社務所の裏側に出ました。
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分岐点:城趾への道

先ほどの分岐点に戻って、今度は城趾へ向かいます。
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階段の向こうに青空が見えます。山道はよく整備されているので歩きやすいです。
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片倉城趾に到着。山道を抜けた場所は、なんと本橋のある空堀でした。
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交通アクセス・開園時間

所在地 :八王子市片倉町2475
アクセス:JR横浜線「片倉駅」から徒歩5分、京王線「京王片倉駅」から徒歩8分。
駐車場:5台程度(再整備工事中)

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二の丸を歩いていたら、どこからともなくサックスの音色が聴こえてきました。片倉高校の生徒さんかなと思ったら、ナイスミドルの紳士が本丸で譜面台を立てて練習の真っ最中。近づいたら止めてしまいました、残念。城趾とサックスって意外と合うものなんですね。
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片倉城趾公園(全2話)
→第3話:片倉城趾公園(前編)「はす池〜しょうぶ田〜水車小屋〜奥の沢」
→第3話:片倉城趾公園(後編)「鳥居〜住吉神社〜二の丸〜引き橋〜本丸」(当記事)

→八王子の公園|記事一覧

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by u-t-r | 2013-06-25 16:00 | 八王子の公園

UTR不動産です。八王子の歴史や暮らしをコツコツ取材しています。基本は「現地で直接お話しを聞く!」。地元の話題が多いですが、どうぞお付き合いのほどを。


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