花と山野草/しだれ桜

八王子のしだれ桜
心源院・宗関寺・浄福寺・高楽寺
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「梅は咲いたか 桜はまだかいな」。高尾梅郷の後は、八王子の桜、それもお寺のしだれ桜をご紹介しましょう。「咲きましたよ!」のお電話は心源院のご住職から。松姫さまゆかりの古刹で、取材にご協力いただいたお寺さんです。本堂前の大きなしだれ桜(推定樹齢300年)の花が満開になったとのこと。さっそく撮影させていただきに伺いました。八王子は神社仏閣が多い街で、八王子市仏教協会様のHPによれば加盟寺院が133もあるそう。ちょっと調べてみると、境内にしだれ桜があるお寺さんが他にも見つかりました。有名なところでは同じ下恩方の浄福寺、山ひとつ越えた宗関寺、高尾の高楽寺にも大きなしだれ桜があります。

お寺と桜と農事

桜の語源説のひとつに、木花之佐久夜毘売命(コノハナサクヤヒメ)が所以という話しがあります。木花という御神名から桜が御神木とされている美しい女性の神様で、父は農業神でもある大山祇神。満開の桜は近在で田植えを開始する合図とされました。こう書くと神社の話しみたいですよね。ではなぜお寺に桜を植えるようになったのでしょうか。

それには奈良の吉野桜が関わっています。今から1300年前、役行者が金峯山寺を開くとき、感得した蔵王権現を桜の木に刻んだことから、ご神木として保護されてきました。以降、吉野桜を倣って境内に桜を植えるお寺が増えていったそう。高尾山薬王院が神仏習合のお寺であるように、秋葉神社も古くは心源院の敷地でした。下恩方の方たちにとって、集落の中心にあるお寺と神社に桜の木があることは、しごく当然だったと思います。

下恩方 心源院のしだれ桜

心源院は戦国時代の武田信玄息女松姫様が剃髪を受け、「信松禅尼(しんしょうぜんに)」になられたお寺としても有名です。当時は第六世の随翁舜悦(ずいおうしゅんえつ)、またの名は卜山(ぼくざん)禅師の代でした。創建は古く延喜年間(901〜923年)の頃で、智定律師が律宗の寺として創建した一字を、醍醐天皇が官寺にして心源鎮静護国院と改めました。その後、武蔵国守護代大石遠江守源定久を開基となり、遠州高尾山石雲院より開山として李雲永岳禅師を請して曹洞宗となりました。現本堂は戦災で消失したものが昭和47年に再建されたものです。
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本堂前の境内には推定樹齢300年と伝えられる大きなしだれ桜が植えられています。この日はたくさんのハイカーさんが花見に訪れていました。
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名称:深澤山 心源院(しんげんいん)
住所:八王子市下恩方町1970
交通アクセス:JR、京王線「高尾駅」北口より室生寺団地、恩方車庫、大久保行「川原宿大橋」下車徒歩7分。グリーンタウン行「タウン入口」下車徒歩15分。

八王子城趾近く 宗関寺のしだれ桜

戦国時代、八王子城が豊臣秀吉により落城して北条氏が滅亡した時に、心源院の随翁舜悦(ずいおうしゅんえつ)禅師が逃げ延びたお寺です。草創は延喜年間(901〜923年)。天慶2年(939年)朱雀天皇から領地を賜り、勅願所として牛頭山神護寺としました。その後、北条氏が八王子城を築いた永禄7年(1564年)に復興。天正18年(1590年)八王子城落城の翌年(1591年)に再興して朝遊山宗関寺となり、現在の場所へは明治25年(年)に移築されました。
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宗関寺の前の道が八王子城趾へ通じています。
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名称:朝遊山 宗関寺(そうかんじ)
住所:八王子市元八王子町3-2562
交通アクセス:JR、京王線「高尾駅」北口より八王子城趾行「宗関寺」下車。またはグリーンタウン行「霊園前」下車徒歩7分。

下恩方 浄福寺のしだれ桜

石垣の上に咲く大きなしだれ桜で有名な浄福寺です。忘れもしない当ブログ第1回の記事は浄福寺のしだれ桜でしたっけ。背後の山は新城(浄福寺城)と呼ばれ、至徳元年(1384年)大石信重開城の山城、案下(あんげ)城趾とみられています。境域および後山には多くの遺構が見られ、中世城郭として、また大石氏の経緯を知る上で重要な城跡であるといわれます。文永年間(1264〜1274年)広恵上人による草創と伝えられ、古くは寺号を千手山普門院城福寺と称していましたが、江戸後期に浄福寺と改めました。大永5年(1525年)、大石道俊および憲重父子が大檀那となり、長尊により再興されました。
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陽当たりのいい高台に見上げるほど大きなしだれ桜が咲いています。
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名称:千手山 浄福寺(じょうふくじ)
住所:八王子市下恩方町3259
交通アクセス:JR「八王子駅」よりバス大久保、陣場高原行「大久保」下車徒歩2分

高尾 高楽寺のしだれ桜

京王線高尾駅のすぐ近くにあるお寺で、創建は天文2年(1533年)と伝えられます。境内に咲く樹齢200年の大きなベニシダレザクラは、まるでお姫様が樹に宿っているようで、「桜姫」と呼ぶ愛好家もいます。もうひとつの名物は本堂裏手の横穴石仏群です。窟はコの字型に掘られ全長約30メートル。天明5年(1785年)に当時の住職了弁の発願により、五穀豊穣・悪病平癒を祈願して本堂裏の丘陵に洞窟を掘って作られたとされます。昭和52年4月には八王子市から八王子史跡として指定されました。
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名称:独峰山 高楽寺(こうらくじ)
住所:八王子市狭間町1868
交通アクセス:JR、京王線「高尾駅」南口より徒歩3分

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取材に伺ったお寺さんのうち、高尾の高楽寺はライトアップで夜桜を楽しめるお寺さんです。ぜひいらっしゃいとの温かいお言葉をいただきましたが、今年は間に合いませんでした。分けていただいた絵はがきはまん丸お月さまと夜桜の写真。天女の羽衣のような幽玄の世界でした。来年はぜひ夜桜を撮影したいと考えています。

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by u-t-r | 2012-04-24 16:33 | 花と山野草

UTR不動産です。八王子の歴史や暮らしをコツコツ取材しています。基本は「直接ご本人に会ってお話しを聞く!」。地元の話題が多いですが、どうぞお付き合いのほどを。


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