賃貸管理日記/自活したい

自活したい娘さん
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ここ数年の学生さんたち、しっかりしている子が増えてきたように感じます。考えてみれば当たり前かもしれません。彼らが生まれたのは今から18年前の平成4年(1992年)、バブル景気がはじけた翌年です。ジュリアナ東京もアルマーニの流行も知らず、節約・省エネの時代に成長しているんです。しっかり者の子世代と、好景気に青春時代を過ごした親世代では、お部屋探しで意見が食い違うこともあるようです。

初日:お家賃3万円台でお願いします
その日窓口をお訪ねになったのは、お孫さんとお祖母様の二人連れ。お部屋の間取りやご予算などの希望をしっかりお持ちのハキハキした娘さんでした。彼女が探していたのは、お家賃3万円台のお部屋です。奨学金5万円とアルバイトで5万円、合わせて10万円/月。親御さんからの仕送りなしで自活したいと考えているようでした。今どき珍しい健気なお考えです。
ちなみに八王子で3万円台のお部屋はこんな感じ。→3万円台ワンルーム

このご予算ではお部屋を選ぶ余地がほとんどありません。居室は畳敷き、バス・トイレ一体型のユニットタイプといったところでしょうか。正直、女子学生さんには不人気の物件なんです。「それでもかまわない」とお孫さん。ご希望をお聞きして、お部屋を何か所かご案内しました。その日は「家族にも相談します」とおっしゃって、物件図面をお持ち帰りになることに。物件図面とは、間取り図や設備、お家賃などを掲載した不動産屋のカタログのようなものです。
下が実物。当社管理物件の1つです。(クリックで拡大)
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二日目:お祖母様の心配
これでお部屋が決まってご契約、とはなりませんでした。翌日、お祖母様が一人でお見えになったのです。何か悩みをお持ちのようで、当社に相談に来られたようです。どうやらご家族の話し合いは不調に終わったよう。

「女の子だから、安全できれいなお部屋に住ませたいと思っていました」
「充実した学生生活を送ってもらうためにも、生活費は全部仕送りするつもりだったんです」
「なのに、あの子ったら『自分の力でやってみたい』と言ってきかなくて…」
「もう少し条件のいいお部屋を見せてもらえないでしょうか」

お孫さんを心配されてぽつんぽつんと話される内容は、身につまされるものでした。お家賃の安い物件が必ずしも女子学生さんに向いてないとは言えませんが、選択肢が狭まることは確かです。まして女の子を持つお身内の心配はいかばかりでしょう。娘さんご希望の予算をとりあえず外し、私どもがお薦めするお部屋を見ていただきました。その上で、もう一度ご家族で話し合ってみてはいかがですかとアドバイスをさしあげ、その日はお帰りになりました。
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三日目:お母様と二人で
その後、ご家族で話し合われたのでしょう。翌週、今度はお母様と二人連れでご来店です。娘さんは仕送りを受け取ることを認め、ご予算を少し増やして親御さんが安心できるような条件のお部屋をお探しになることに。お互いに折れるべきところは折れ、娘さんがアルバイトをすることをお認めになったそうです。

市内の大学には、2年生までが八王子キャンパス、3〜4年は都内のキャンパスに変わる学校が多いのです。その両方に通いやすい場所となると、駅近くが理想的。どうしてもお家賃が高くなってしまいます。その中でも比較的リーズナブルなお家賃の部屋を中心にご案内したのですが、これがなかなか決まらない。

お母様は、非常階段の位置や窓からの視線、果ては害虫の心配まで事細かにチェックされますし、娘さんは娘さんでどうやらまだ低家賃のお部屋を諦めていないよう。少しでも安い部屋を探されたいごようすでした。かくして、内見はハシゴに継ぐハシゴ状態に。お互いヘトヘトになったところで、またもご家族で話し合いと相成りました。

あまりたくさん見過ぎると、かえって迷うものなんです。経験上、3か所までが限度ですね。それ以上はお客様も憶えていられないようです。今回は何部屋内見したことか…。
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四日目:お祖父様ご出馬
どうにも話しがまとまらなかったようで、一家の最高権力者お祖父様がお見えになりました。「部屋を見過ぎてどうすればいいか迷ってるらしい」とのこと。やはり!
ここは冷静な大人の視点で判断したいとお考えでした。念のため、お孫さんご希望の低家賃のお部屋を1件、親御さんのご希望に沿った相応なお部屋を何件か内見ご希望です。こうなったら乗りかかった船。不動産屋の意地にかけても、とことんおつき合いしちゃいます。
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最終日:決定
こうして最終候補が決まり、確認のために娘さんとお母様が内見にお見えになりました。お部屋はグレードアップし、半分は企業の社宅という高級マンションに。娘さんが当初お考えだったご予算より少々オーバーしてしまいました。ご家族の安心と娘さんの意地を折半して、嵩んだお家賃は卒業後に働いて返すということで娘さんも納得。

今回の場合は、ご予算はある程度自由なものの、内見し過ぎて迷ってしまったケースです。自活したい健気な気持ちを大切にしてあげたいが、ご家族が安心できる女性向けのお部屋という条件が、お部屋探しをさらに難しくしてしまいました。全部で20室は見たでしょうか。それでも最後に皆さん納得してくださったのが救いです。
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担当とは
都合5回に渡る内見を経て、ようやくお部屋が決まりました。私が不在の時もあったわけで、他のスタッフに動いてもらう日もありました。こういう時って社内でちゃんと引き継ぎしてるの?と疑問に思う方が多いかもしれません。ご心配なく。出かける前にあらかじめ候補の部屋をリストアップして、お連れするようにしています。

当社では、最初のご訪問時に接した者が最後まで責任を持ってご案内します。内見していく間にもお客様のご希望はどんどん変わっていき、周辺環境、例えばお寺さんの近くは嫌だという方、静かだからいいわという方、実に様々な考え方が分かってきます。こういう感覚的なものを他のスタッフに説明するのは大変。なので、一人が最後までお世話することになるわけです。
難しいんですよ。お部屋探しのアドバイスって。

※プライバシー保護のため、内容は若干脚色しています。

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今回のお客様のように、お子さんの健気さが度を超して、かえって親御さんが心配されるケースは稀です。中には我が子が心配なあまり、途方もないオーダーをいただくこともあります。「家はウォシュレットなので、ワンルームにも付けてもらえませんか?」などと。
大丈夫!お子さんはお母様が思うよりしっかりしていますよ。

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by u-t-r | 2010-06-29 20:54 | 賃貸管理日記(ワンルーム)

UTR不動産です。八王子の歴史や暮らしをコツコツ取材しています。基本は「直接ご本人に会ってお話しを聞く!」。地元の話題が多いですが、どうぞお付き合いのほどを。


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