八王子見て歩記/きこえの不思議(後編)

きこえの不思議(後編)
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お話しのあと、リオンテクノ様で工場見学をさせていただきました。
後編では腕時計の組み立てにも匹敵する繊細なお仕事をご紹介します。

耳あな型補聴器の製造工程は精密そのもの。小さなシェル(外形)の中に微細な部品が隙間なく組み込まれています。顕微鏡を見ながら組み立てている作業員さんたち。補聴器の製造って細かい作業の連続なのですね。
工場内は静電気対策用の作業着と、静電靴(専用作業靴)による静電気除去がルールになっています。なんでも、静電気は補聴器をはじめ電子部品の大敵なのだとか。特に冬場は湿度が低くなるため静電気が発生しやすく、その対策が重要になるそうです。

耳型採取
オーダーメイド補聴器は、販売店が医師の指導のもと、お客様の耳型を採取します。耳せんが耳の形に合っていないと、耳から音が漏れてピーピー音(ハウリング)を起こしたり、耳から補聴器が外れやすくなります。かたちは人によって千差万別で、耳の左右でも異なります。
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シェル(補聴器を納めるケース)の作製
近年普及がめざましいオーダーメイド補聴器の生産手段は、そのオーダーメイドの形状ゆえ手作り工程が多く、効率や品質安定性向上のためのコンピュータ支援による自動生産化が大きな課題となっていました。リオンでは、生産自動化のカギである外耳道形状を形成するシェルの生産を平成16年(2004年)にCAD/CAM化することに成功しました。

このオーダーメイド補聴器シェル自動生産システムは「リオネット夢耳工房(ゆめじこうぼう)」と名づけられ、採取した耳型から形状を三次元データ化することで、三次元設計された補聴器ユニットと合わせて個々人の補聴器を三次元CAD上で設計することが可能となり、結果としてより安定した製品の小型化が実現できました。

シェル(外形)を製造するのはレーザー光と光硬化樹脂を使ったシステム(光造形装置)で、お客さま一人一人別々の型を製造します。液体樹脂を使う関係上地震には弱いので、耐震に気をつけると同時に震度計を接続したコンピュータで常時監視して、いつでも緊急停止できるようになっています。
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「リオネット夢耳工房(ゆめじこうぼう)」は、まず販売店で採取した耳型の形状を専用スキャナで取り込みます。一般的な耳型で約15万〜18万ポイントものデータになりますが、データ量が多いので、点ではなく線、さらに面データ(画像データ)として形状を取り込んでいます。これらのデータはすべて保存しておりますので、補聴器紛失時の再作製時などに特に威力を発揮します。

取り込まれたデータを3次元CADでシミュレーションを行いながら、シェルの形状をトリミングしていきます。お客様が補聴器を装用された時に目立たないようにするためです。中でも「スーパーミニカナール」という機種では、外から見えないようなデザインにしています。
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耳の形状は、耳の穴が太い方、細い方、曲がりが急な方など、人によって千差万別です。シェルの中には色々な部品が入りますので、部品の配置を少しずつ変えていきます。厳密にいうと、耳穴型補聴器は1台1台設計が違うんです。
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部品組み込み
お客さまの耳に合わせたシェル(外形)が出来上がったら部品の組み込みに入ります。各部品が置かれた棚から、必要なものを取り出して顕微鏡を見ながら配置していきます。小さな補聴器の中には、マイクロホン、アンプ、イヤホン、電池ホルダーなどフェースプレート(基盤)内の微少部品が隙間なく組み込まれます。

お客様一人一人で異なる聴力に対応するため、音質・音量を合わせるのがアンプです。3つの監視システム(音声の監視、環境の監視、突発音声の監視)により周囲の騒音を効果的に低減します。

「ハウリングキャンセラー」は、音質への影響をほとんど与えずにハウリング(ピーピー音)を抑えます。「ノイズキャンセラー」は、食器をテーブルに置いた時のカチャカチャ音や、新聞紙をたたむクシャクシャ音などの耳障りなノイズを軽減する機能です。主に話し声を聴きとりやすく調整しますが、お客様の生活スタイルによる特性の微調整も可能です。

他にも、携帯電話使用時に通話の妨げになる大きなノイズを抑える「携帯電話ノイズ対策」。どちら向きに電池を入れても正しく動作する「おまかせ回路」、電池の交換時期を音でお知らせする「電池交換お知らせアラーム」などが組込まれています。

作業の見た目は腕時計の職人さんに似ています。大変な精密さと経験を要求される工程で、当社のベテラン女性社員さんはグループ会社から移籍した人材です。新旧の製品に精通しており、彼女なしでは長くご愛用いただいた補聴器の修理もままなりません。当社の欠けがいのない財産です。
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研磨・ネーム入れ
部品を組み込んだ段階で出来上がったものは、ちょうど等高線のように凸凹した状態、これを研摩して滑らかな形状に加工します。お客さまのお身体に直接あたる部分ですので慎重な作業が必要です。研摩の訓練には最低3か月、実際に出荷できるレベルのものには6か月以上かかります。
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シェル(外形)とフェースプレート(部品が組み込まれている部分)は光硬化接着剤で接着されます。この後余分な部分を削り取り、最終仕上げを行います。ここで、ご購入いただいたお客様のお名前をシェルにレーザーで刻印します。お客様に左右がわかりやすいよう、右耳には赤色、左耳には青色の色を入れ全体にコーティングを施して仕上げを行います。お名前の刻印はリオネット補聴器の特徴の一つです。
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これで完成というわけにはいきません。最後に補聴器がお客様の聴力に合わせた特性になっているか、1台1台、確認のための測定を行います。このデータもオーダーメイド補聴器製作当初からのものが保存されています。

納品後の手直し
お客様にお渡ししたオーダーメイド補聴器は、万一、ご満足いただけない場合には再度シェルから作り直す場合もあります。補聴器は毎日の生活で使うもの。性能とフィット感が両方そろって初めて完成なのです。

補聴器の修理
オーダーメイド補聴器は大変高価な買い物です。当社では故障した補聴器をお預かりする修理サービスも行っています。お送りいただいた故障品を専用のコンピュータでチェック、問題があった部品を特定、そのパーツだけ交換することでお客様のご負担軽減を図っています。
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眠っている補聴器はありませんか?
お手元に「タンス補聴器」はございませんか?オーダーメイドの補聴器を購入したものの、装着感が気になったり、ピーピー音がしたり、電池の交換が上手くいかなかったり…という理由から、引き出しの奥にしまったままの補聴器があるという声をしばしば耳にします。リオネット補聴器であれば、再調整や修理など、私共で出来る限りの対応を行いますし、他社メーカーさんの製品であれば、幾つかのアドバイスをすることができます。

私共リオンテクノは、一人でも多くの方に「きこえ」のある生活をご提供できればと考えております。ご相談・ご注文はお近くの販売店をお訪ねください。また、直接当社に調整・修理等をお持込いただくこともできますので、お気軽にご利用ください。

補聴器をお考えの方にアドバイス
補聴器には色々なタイプがあり、金額もさまざまです。ご使用なさる方の聴力や耳のカタチに合ったものをお選びいただくことが何より大切です。例えば聴力が衰えてくると補聴器本体が大きなものになり、耳の穴が特に狭い方は耳あな型では補聴器を支えきれないため、耳かけ型をお薦めしています。

聴こえづらくなってきたなと感じたら、症状が進む前に補聴器販売店においでください。「耳から信号(音)を入れることは、老化の防止に繋がる」という説もあり、耳からの信号が途絶えると、音をキャッチする脳の部分(伝達機能)が使われなくなりますので、その分、老化が早くなるとも言われています。この点から早期のご来店をお薦めします。

リオネット補聴器のご相談は主に販売店で承っておりますが、リオンテクノでも同様のサービスが可能です。当社社員はオーダーメイド補聴器のプロフェッショナルです。一刻も早く入手されたいお客様にも、可能な限りご希望に添えるように対応しております。

八王子エリアの主なリオネット補聴器取扱店
●八王子補聴器相談室
●リオネットセンター立川
●リオネットセンター町田

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リオンテクノ様の特徴の1つは直接雇用の社員比率の多さです。スタッフの96.9%(2010年1月時点)が直接雇用で、熟練工の育成にも力を入れているそう。工場といえば派遣切りの悲しいニュースを聞くことが多くなった昨今、働いている方の生活を守りながら、お客様のご希望にもきちんと対応しようという企業姿勢に感銘を受けました。

取材窓口になってくださった総務部課長様も、元は医療業界関係に勤めていた経歴をお持ちです。求人の面接では「社会の役にたつ仕事をしたいと考える応募者が多いのもリオンの特徴ですね」と。補聴器のトップメーカーとしてのリオン様は、こうしたスタッフ一人一人が支えている会社様でした。

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取材協力:リオンテクノ株式会社

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by u-t-r | 2010-02-09 18:12 | 八王子見て歩記

UTR不動産です。八王子の歴史や暮らしをコツコツ取材しています。基本は「直接ご本人に会ってお話しを聞く!」。地元の話題が多いですが、どうぞお付き合いのほどを。


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