八王子見て歩記/大島椿

八王子の大島椿

八王子市役所本庁2階ロビーに八王子商工会議所の産業展示室があります。地元の「ものづくり企業」27社の最先端技術や、独自技術により生み出される各種製品が展示されたスペースで、八王子で生産されている電子機器や光学機器が何点も並んでいます。
その中に一風変わった製品が置かれていました。透明なガラス瓶に浮き彫りになった名前は「大島椿」。「成分 ツバキ油100%」とありました。八王子になぜ大島椿?そんな素朴な疑問を胸に、西浅川の大島椿本舗様をお訪ねしました。
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大島椿の由来
取材に応じてくださったのは、生産管理部の片桐工場長様。まずお聞きしたのは「なぜ八王子に大島椿の会社があるのか」でした。

ええ、皆さんによく聞かれます。伊豆大島のツバキ油をなぜ八王子で作っているのかって。「大島椿」は当社の登録商標なんですよ。創業は昭和2年(1927年)、日本初の地下鉄(浅草~上野間)が開通した年でした。ツバキ油との縁は、創業者 岡田春一が早稲田大学の卒業論文を書くにあたり、伊豆大島を訪れたのがはじまりです。岡田は、その美しい雄大な自然に感動し、島の発展、開発に一生を注ぐ決意をし、そこに自生する椿から採れる黄金の油を、広く世に紹介しました。ですから、創業の地は伊豆大島だったんです。
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コロッケ6個~8個が10銭の時代にツバキ油は小瓶40ml位で30銭と高級な油でした。30銭用意できない人にもツバキ油の良さを理解し使って欲しいと、銅壷にツバキ油を入れ一軒一軒、訪問販売の量り売りから始めました。
その後、昭和5年(1930年)に小石川に東京工場と営業所を設立、昭和8年(1933年)には音羽町に移転しました。ここ八王子に来たのは昭和38年(1963年)のことです。

写真は戦後間もなくの昭和25年頃から約5年間、全国を回っていた当社の宣伝カーです。大型バスをキャンピングカーのように改造し、大島のアンコさんを乗せて、1県を2~3週間かけてまわりながら全国津々浦々行脚しました。テレビが無い時代に大島から来たアンコさんの歌と踊りは大変珍しく、1日1000本売れることも珍しくなかったとのことです。
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椿油とは
たとえばこの製品、頭髪用オイル「大島椿」ですが、ボトルのデザインを80年間変えていません。中身もまじりけなしの100%ツバキ油のままです。
当社製品の特長は、天然素材であるツバキ油から作っていることです。創業当初は文字どおり伊豆大島産のヤブツバキの実を原料にしていました。今では年間200トンものツバキ油を製品化しているので、世界各地から原料を輸入しています。今年で82周年になりますが、100%ヤブツバキ・ヤブツバキ系の実から絞ったツバキ油であることに変わりはありません。
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ツバキ油といえば、お相撲さんのちょんまげや芸者さんの鬢付けを思い出される方が多いかと思います。その歴史は古く、遣唐使の頃から中国へ献上品として珍重されていました。大島椿の生まれた昭和初期には、女性は日本髪、男性はポマードで整髪が主流でした。昔から女性に愛用されてきたツバキ油ですが、最近、若い女性の間で新たなブームになっています。実際、当社に寄せられる愛用者のお声で20〜30代の女性が占める割合が増えてきました。ヘアカラーなどでダメージを受け、枝毛が増えた毛髪がツバキ油で改善されたとのお声をいただいています。

椿油の主成分であるオレイン酸は、保湿力が高く、蒸発しにくいサラサラとした脂肪酸です。人の皮脂に最も多く含まれ、人の肌に最も馴染みやすい脂肪酸として有名です。しかも抗酸化性で、長時間空気にさらしても変質しにくい特長を持っています。このオレイン酸、大島椿には80〜85%も含まれているんです。

椿油の用途
創業当初はツバキ油をそのまま販売しておりましたが、今ではずいぶん製品が増えました。
ヘアケア製品としては、ダメージヘア用の「EXシャンプー」、「EXトリートメント」、「EXエッセンスオイル」。トータルヘアケア用として「つやつやになるシャンプー」、「つやつやになるトリートメント」、「つやつやになるウォーター」、「つやつやになるスプレー」。フケ・カユミの改善に「頭皮のためのオイル」、「頭皮のためのシャンプー」。スキンヘルスケア用として、「シャンプー」、「ボディソープ」、「ソープ」、「ローション(保湿水)」、「クリーム」、「オイル(スプレータイプ)」、「オイルマジック 肌質オイル」。

自然素材ならではの低刺激性の特長を活かして、低刺激性・無香料・無着色の「アトピコシリーズ」も発売しております。「スキンケアシャンプー」、「スキンケアソープ」、「ウォーターローション(保湿水)ミストタイプ」、「オイルローション(乳液)」、「スキンケアオイル」。さらに大人のドライスキンのために「カンピーノ スキンケア・ボディソープ」、「カンピーノ スキンケア・ボディローション」。
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これら製品はすべてツバキ油を原料として製造しています。ヤブツバキは実が成るまで成長するのに30年も必要で、その間の手入れにも手がかかる作物です。しかも、実から絞れる油は種子全体の重さのわずか25〜30%にしかなりません。年間200トンのツバキ油がいかに大変な量かお分かりになるでしょう。一昨年(2007年)には中国に台風が4つ上陸して、落果のため収穫が減少し集めるのに苦労しました。昨年は昨年で結果した実が少なく、確保に走りました。
同じツバキ科のサザンカや油茶などを使えば簡単なのですが、私ども大島椿ではツバキ油で最良のものとされるヤブツバキだけを原料とするのが製品づくりの前提です。こうした苦労もお客様からのお手紙をいただくと報われる思いがいたします。

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世界には創業200年以上の企業が5,586社あるそうですが、うち3,146社を日本が占めています。創業100年ならなんと21,066社!まさに長寿企業大国です。
本業一筋80年。常に創業の原点を忘れず、長く品質確保に努められてきた大島椿本舗様。「もっと色々な化粧品を作っていれば、会社も大きくなったんですが」と片桐様は苦笑されていましたが、1つの製品を変わらず80年間も製造し続けるのは大変なことです。
その時々の利益を追求しているだけでは時代を超えて生き残るなんてできません。色々考えさせられた私でした。

取材の時に「ちょっと試してみてください」と言われて、EXエッセンスオイルを渡されました。左手に軽くスプレーしてもみもみ。驚くことに3日間もお肌がすべすべでした。
誰です!「ちゃんと風呂に入っているのか?」なんて言う人は!

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取材協力:大島椿本舗

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by u-t-r | 2009-09-15 18:40 | 八王子見て歩記

UTR不動産です。八王子の歴史や暮らしをコツコツ取材しています。基本は「直接ご本人に会ってお話しを聞く!」。地元の話題が多いですが、どうぞお付き合いのほどを。


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