花と山野草/醍醐林道(5月)-1

醍醐林道の山野草たち(5月)-1
龍蔵神社〜龍神淵/上恩方町醍醐地区
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前回、醍醐林道に行ったのは2年前の8月でした。龍神伝説と龍神淵、醍醐川に残された謎の木道、悲しい伝説「ばばころがし」。八王子の秘境といってもいいくらい自然が残された醍醐地区は、山野草の宝庫でもあります。5月半ば。春の山野草を撮りにふたたび醍醐林道に入ることにしました。いったい、どんな花たちと巡りあえるのでしょう。

龍蔵神社

昔、神龍がこの石船山に降臨したという伝承がある石船山龍蔵神社(通称龍蔵神社)は、醍醐地区の入口にあります。醍醐川にかかる橋の袂はタマアジサイの自生地。よく見られる西洋アジサイやガクアジサイの花期が梅雨時なのに対して、タマアジサイの花期は8〜9月と遅れて咲きます。
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夏過ぎ〜9月にかけてまん丸の、まるでシャクヤクのようなツボミをつけるタマアジサイ。龍蔵神社からはじまる醍醐川に沿った湿地にタマアジサイの群生が続きます。
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葉のかたちは普通のアジサイと同じギザギザ模様。双葉の出ているところにツボミがつきます。
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2015年夏に撮影したタマアジサイ。まるでシャクヤクのツボミのようにも見えます。
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咲くと、ガクアジサイに似た紫の花です。花言葉は「謙虚」「あなたは冷たい」。丸いツボミに閉じこもるところからでしょうか。
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醍醐川の岸辺に咲いているのはヒメシャガ(姫著莪)。小型のアヤメの仲間で日本の固有品種です。八王子ではよく見かける花ですが、九州では絶滅の危機に瀕しているそう。花言葉は「隠れてる私を見つけてください」「内気な恋」「変わらぬ愛」。山地の森林にある岩場や急斜面といった目立たぬ場所にひっそり咲くからでしょうか。
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タマアジサイの間から顔を出していたマムシグサ(蝮草)。茎の表面の紫褐色の斑点がまだら模様になっていて、マムシの模様に似た茎が鎌首をもたげるように立ち上がります。根茎を干したものは生薬の天南星になり、去痰、鎮痙の薬効があるんだそう。花言葉は「壮大な美」。背の高い花が茂みの中からニョキッと。すごく目立ちます。
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龍神淵とににく沢林道分岐

この時期に咲いている花は白と黄色が多くて、かたちまで似ていました。同じ種類かなと思って調べてみたら、全部違う花でした。「雑草という名の草はない」は本当ですね。どんなに小さな花にも名前がついているのですから。
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鮮やかな黄色い花をつけているクサノオウ。「草の王」ではなく「草の黄」と書きます。アルカロイドを含む毒草ですが、古くから薬草として使用されてきた歴史があります。乾燥させて鎮痛・解毒薬として。また、茎を折ると黄色い汁がでますが、この汁は虫刺されやイボ、腫物などに塗る民間薬になるそうです。文字通り「毒をもって毒を制す」。花言葉は「思い出」「枯れた望み」「私を見つけて」。見つけてって…。そこら中に咲いているのですが。
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私はひっそり咲く小さな花が好きです。たとえそれがどんなに地味な花でも。白い小さな花はツルカノコソウ(蔓鹿子草)。名前の由来は上から見るとポツポツとしたツボミが鹿の子絞りに見えることから。別名;ハルオミナエシ(春女郎花)・ヤマオミナエシ(山女郎花)。湿り気のある場所が好きな山野草です。花言葉は「親切な処理」「楽にする」「真実の愛情」「気さく」。優秀な窓口担当者のよう。
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路肩で足下に目をやると、シソの葉のような丸いギザギザ模様の葉と黄色い花が見えました。キケマン(黄華鬘)です。「華鬘(けまん)」とはお寺さんの仏殿に垂れ下がった造花状の飾りのこと。唐草や蓮華(れんげ)を透かし彫りにして、下縁に総状の金物や鈴を垂らす装飾です。そういえば、花の形が似ているような気がする。有毒植物で、全草にアルカロイドを含む毒性があります。茎などの汁がついた手で食事をするだけで危険だそう。花言葉は「祈りある生活」。お寺さんに縁がある名前だけに。
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キケマンの紫バージョンもすぐ近くに咲いていました。ムラサキケマン(紫華鬘)です。どちらもエンゴサクの仲間で、白・黄・ピンク・青・紫とカラーバリエーションが豊富です。草全体に毒性を持っているので、口に入れるのは危険です。食べる人はいないでしょうけど。花言葉は「喜び」「助力」「あなたの助けになる」。これだけたくさんの花をつけるのですもの。
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いつ来ても人気がなく静かな醍醐地区。その分だけ自然が自然のままで残っています。前回行ったのは夏8月、今回は春まっさかりの5月。季節が変わるだけで、こんなにも咲く花が変わるものかと思いました。どの花も可憐で可愛らしい。醍醐林道へ車以外の交通手段で行くのは大変です。高尾駅北口から1時間に1本出発する西東京バス「陣場高原下行き」に乗って22分。「関場停留所」で下車して、龍蔵神社まで徒歩25分、醍醐林道を通って、ばばころがしまで徒歩20分です。片道1時間を超えるルートになります。

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醍醐林道の山野草たち(2話)
醍醐林道の山野草たち-1「龍蔵神社〜龍神淵」/5月(当記事)
醍醐林道の山野草たち-2「醍醐川上流端〜ばばころがし」/5月

醍醐林道の山野草/2015年8月
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by u-t-r | 2017-06-13 16:00 | 花と山野草

UTR不動産です。八王子の歴史や暮らしをコツコツ取材しています。基本は「現地で直接お話しを聞く!」。地元の話題が多いですが、どうぞお付き合いのほどを。


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