八王子の公園/湧水巡り11/片倉城址公園(前編)
2017年 01月 24日
八王子の公園-第14話-八王子湧水巡り-11
片倉城址公園/八王子市片倉町(前編)
水車が回る菖蒲田
片倉城址公園は今まで取材で4回行っています。最初は平成21年(2009年)4月に、本丸北側斜面のカタクリの花を見に行ったのでした。同じ時期に今度は東京で4番目に古い住吉神社の算額を調べに行っています。4年後の平成25年(2013年)になって、公園内を「はす沼〜しょうぶ田〜水車小屋〜奥の沢」、と「鳥居〜住吉神社〜二の丸〜引き橋〜本丸」の2つに分けてご紹介しました。
すでにその頃、八王子市から「八王子湧水めぐりマップ」が発行されています。片倉城址公園の湧水も指定されていたはずですが、菖蒲田と水車に目を奪われて、湧水をご紹介し忘れました。今回は公園の湧水に的を絞って撮影してきました。
公園入口
片倉城址公園は国道16号沿いにあります。片倉駅から八王子方面に向かって左側が公園入口です。以前は分かりにくい目立たない案内看板でしたが、3年来なかった間にエンジ色のきれいな看板に変わっていました。
以前は5台分の駐車場だった場所が歩道と車道に別れて、歩道には視覚障害者誘導用ブロックが設置されています。どうやら駐車場整備も終わったようです。
完成した新駐車場は、入ってすぐ右に障害者用スペースが2台分。
その奥のフェンス内が一般駐車場になっています。
一般駐車場は合計20台分です。利用できる時間帯は午前9時〜午後5時まで、駐車料金はもちろん無料です。
園内へ
年期が入っていた園内案合図(左)は新調され、階段や段差が表示されて、車いすなどで訪れる方にも便利です。視覚障害者用の触地図(右)も設置されました。
触地図は面・線・点が凹凸で表現されていて、園路や建物・池などに輪郭線が入っています。本丸広場へ抜ける道は急斜面や階段がありますが、湧水は段差のない低地にあるのでどなたでも回れるでしょう。(クリックで拡大)
紅葉
撮影日が11月中旬だったので、園内は紅葉がはじまっていました。
紅葉を背景にした彫刻。すてきです。
鮮やかに紅葉した管理棟前のモミジ。他に暗い紅色のモミジもあり、モミジに種類があるのを初めて知りました。(クリックで拡大)
はす沼
入口に入ってすぐにあるのが「はす沼」です。この沼の大きさだけでも六本杉公園の湧水池くらいあるんじゃないでしょうか。湧水量の豊富さをうかがわせます。
人の気配を感じてニシキゴイたちが集まってきました。ごめんね〜、今日は何も持ってきてないのよ。
はす沼は2つあり、こちらは大きい方の沼です。落ち葉に覆われた水面が晩秋を感じさせます。
湧水の池
はす沼の近くから菖蒲田までの間は、水車小屋からはじまる湧水の池が続きます。
水草の池に浮かぶモミジたちの赤と黄。紅葉のネックレスです。
池の手前を右に曲がると湿地園に出ます。
植えてある湿地の植物は、水辺=ミズバショウ(水芭蕉)、水辺ぎりぎりの湿地=サワギキョウ(沢桔梗)、河川敷・泥湿地=タコノアシ(蛸足)、湿原=ニッコウキスゲ(日光黄菅)、モウセンゴケ(毛氈苔)、草地=ツリガネニンジン(釣鐘人参)など。
東京の名湧水57選
湿地園の水路に流れ込む湧水。
本丸広場のある側が高台になっていて、園内いたるところの斜面から湧水が湧き出しています。
池を過ぎたあたりに「東京の名湧水57選」の銘木が立っていました。八王子市内では片倉城址公園を含め5か所が選定されています。
菖蒲田へ
池と菖蒲田の間は水路になっていて、キショウブやアヤメが植えられています。
菖蒲田の手前にあるあずまや。ここから眺める菖蒲はみごとなことでしょう。
菖蒲田には木道が設けられているので、花のそばを歩けます。4月下旬〜5月中旬の開花期にもう一度来てみよう。
花の名前を記した名札が挿してありました。こちらの花は「紫」。他に、旭匠、月影、ローズクイーン、筑紫路、除夜の鐘、ピンクフロストなどなど。野や山に自生していた花菖蒲の原種は江戸時代後期に改良が進められ、これまでに5000以上の品種が作られました。
「とんぼ沼」に流れ込む清水は、山側の「田んぼ跡」に湧いた水が遊歩道の下を通って流れ込んでいます。
このあたりは案内図によると、小動物の住む「とんぼ沼」らしい。向こうにまた菖蒲田が見えてきました。
奥の菖蒲田は段々畑状になっています。
菖蒲田に流れ込む湧水。ここで湧き出した清水が、菖蒲田〜とんぼ沼〜あやめの水路を経て、はす沼まで繋がっています。
片倉城址公園の湧水が湧いているのはこの斜面です。本丸広場から片倉つどいの森公園に至る丘陵に染み込んだ雨水が水源になっています。
水車
片倉城址公園の名所といえば、なんといっても湧水で回る水車。菖蒲田の隣りにあって、斜面から引いた湧水でコットンコットン回っています。
水車の水源は、ほんの10メートルほど離れた斜面の湧水です。
なんだか水車だけ新しくなっているよう。水車を新調したみたいです。新しい水車は、チョロチョロ水でも元気よく回っていました。
こちらは3年前に撮った同じ水車です。水量が少ない時期には水車が止まってしまっていたのでしょう。草が生えちゃってました。
水車からの小さな流れはほたる沼に流れ込みます。ホタルの幼虫のエサであるカワニナが住んでいるそう。
後編では片倉城址公園の横を流れる湯殿川沿いを散歩します。
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あずまやの屋根は苔むしていて風情があります。カメラを持った方が順番待ちで写真を撮っていらっしゃいました。私もパチリ!
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取材協力:八王子市役所水循環部水環境整備課
八王子湧水巡り(全14話)
湧水巡り-1:「八王子湧水めぐり」
湧水巡り-2/子安神社(中野山王)前編:「池の淵から澄んだ水が次々と」
湧水巡り-3/子安神社(中野山王)後編:「木立の中のお社」
湧水巡り-4/横川弁天池(横川町):「錦鯉が泳ぐ湧水の池」
湧水巡り-5/叶谷榎池(叶谷町):「樹齢数百年を超える榎と湧水」
湧水巡り-6/六本杉公園(子安町):「アジサイの花に囲まれた湧水」
湧水巡り-7/真覚寺(散田町)前編:「湧水の庭園と蛙合戦の伝説」
湧水巡り-8/真覚寺(散田町)後編:「観音堂と高宰神社」散田町
湧水巡り-9/子安神社(明神町)前編:「御神池と安産祈願の底抜け柄杓」明神町
湧水巡り-10/子安神社(明神町)後編:「境内にある十二社のお社」明神町
湧水巡り-11/片倉城址公園(片倉町)前編:「水車が回る菖蒲田」(当記事)
湧水巡り-12/片倉城址公園(片倉町)後編:「湯殿川沿いを散歩」
湧水巡り-13/小宮公園(大谷町・暁町)前編:「大谷沢と大谷弁天池」
湧水巡り-14/小宮公園(大谷町・暁町)後編:「雑木林の谷地にある湧水」
片倉城址公園/八王子市片倉町(前編)
水車が回る菖蒲田
片倉城址公園は今まで取材で4回行っています。最初は平成21年(2009年)4月に、本丸北側斜面のカタクリの花を見に行ったのでした。同じ時期に今度は東京で4番目に古い住吉神社の算額を調べに行っています。4年後の平成25年(2013年)になって、公園内を「はす沼〜しょうぶ田〜水車小屋〜奥の沢」、と「鳥居〜住吉神社〜二の丸〜引き橋〜本丸」の2つに分けてご紹介しました。
すでにその頃、八王子市から「八王子湧水めぐりマップ」が発行されています。片倉城址公園の湧水も指定されていたはずですが、菖蒲田と水車に目を奪われて、湧水をご紹介し忘れました。今回は公園の湧水に的を絞って撮影してきました。
公園入口
片倉城址公園は国道16号沿いにあります。片倉駅から八王子方面に向かって左側が公園入口です。以前は分かりにくい目立たない案内看板でしたが、3年来なかった間にエンジ色のきれいな看板に変わっていました。
以前は5台分の駐車場だった場所が歩道と車道に別れて、歩道には視覚障害者誘導用ブロックが設置されています。どうやら駐車場整備も終わったようです。
完成した新駐車場は、入ってすぐ右に障害者用スペースが2台分。
その奥のフェンス内が一般駐車場になっています。
一般駐車場は合計20台分です。利用できる時間帯は午前9時〜午後5時まで、駐車料金はもちろん無料です。
園内へ
年期が入っていた園内案合図(左)は新調され、階段や段差が表示されて、車いすなどで訪れる方にも便利です。視覚障害者用の触地図(右)も設置されました。
触地図は面・線・点が凹凸で表現されていて、園路や建物・池などに輪郭線が入っています。本丸広場へ抜ける道は急斜面や階段がありますが、湧水は段差のない低地にあるのでどなたでも回れるでしょう。(クリックで拡大)
紅葉
撮影日が11月中旬だったので、園内は紅葉がはじまっていました。
紅葉を背景にした彫刻。すてきです。
鮮やかに紅葉した管理棟前のモミジ。他に暗い紅色のモミジもあり、モミジに種類があるのを初めて知りました。(クリックで拡大)
はす沼
入口に入ってすぐにあるのが「はす沼」です。この沼の大きさだけでも六本杉公園の湧水池くらいあるんじゃないでしょうか。湧水量の豊富さをうかがわせます。
人の気配を感じてニシキゴイたちが集まってきました。ごめんね〜、今日は何も持ってきてないのよ。
はす沼は2つあり、こちらは大きい方の沼です。落ち葉に覆われた水面が晩秋を感じさせます。
湧水の池
はす沼の近くから菖蒲田までの間は、水車小屋からはじまる湧水の池が続きます。
水草の池に浮かぶモミジたちの赤と黄。紅葉のネックレスです。
池の手前を右に曲がると湿地園に出ます。
植えてある湿地の植物は、水辺=ミズバショウ(水芭蕉)、水辺ぎりぎりの湿地=サワギキョウ(沢桔梗)、河川敷・泥湿地=タコノアシ(蛸足)、湿原=ニッコウキスゲ(日光黄菅)、モウセンゴケ(毛氈苔)、草地=ツリガネニンジン(釣鐘人参)など。
東京の名湧水57選
湿地園の水路に流れ込む湧水。
本丸広場のある側が高台になっていて、園内いたるところの斜面から湧水が湧き出しています。
池を過ぎたあたりに「東京の名湧水57選」の銘木が立っていました。八王子市内では片倉城址公園を含め5か所が選定されています。
菖蒲田へ
池と菖蒲田の間は水路になっていて、キショウブやアヤメが植えられています。
菖蒲田の手前にあるあずまや。ここから眺める菖蒲はみごとなことでしょう。
菖蒲田には木道が設けられているので、花のそばを歩けます。4月下旬〜5月中旬の開花期にもう一度来てみよう。
花の名前を記した名札が挿してありました。こちらの花は「紫」。他に、旭匠、月影、ローズクイーン、筑紫路、除夜の鐘、ピンクフロストなどなど。野や山に自生していた花菖蒲の原種は江戸時代後期に改良が進められ、これまでに5000以上の品種が作られました。
「とんぼ沼」に流れ込む清水は、山側の「田んぼ跡」に湧いた水が遊歩道の下を通って流れ込んでいます。
このあたりは案内図によると、小動物の住む「とんぼ沼」らしい。向こうにまた菖蒲田が見えてきました。
奥の菖蒲田は段々畑状になっています。
菖蒲田に流れ込む湧水。ここで湧き出した清水が、菖蒲田〜とんぼ沼〜あやめの水路を経て、はす沼まで繋がっています。
片倉城址公園の湧水が湧いているのはこの斜面です。本丸広場から片倉つどいの森公園に至る丘陵に染み込んだ雨水が水源になっています。
水車
片倉城址公園の名所といえば、なんといっても湧水で回る水車。菖蒲田の隣りにあって、斜面から引いた湧水でコットンコットン回っています。
水車の水源は、ほんの10メートルほど離れた斜面の湧水です。
なんだか水車だけ新しくなっているよう。水車を新調したみたいです。新しい水車は、チョロチョロ水でも元気よく回っていました。
こちらは3年前に撮った同じ水車です。水量が少ない時期には水車が止まってしまっていたのでしょう。草が生えちゃってました。
水車からの小さな流れはほたる沼に流れ込みます。ホタルの幼虫のエサであるカワニナが住んでいるそう。
後編では片倉城址公園の横を流れる湯殿川沿いを散歩します。
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あずまやの屋根は苔むしていて風情があります。カメラを持った方が順番待ちで写真を撮っていらっしゃいました。私もパチリ!
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取材協力:八王子市役所水循環部水環境整備課
八王子湧水巡り(全14話)
湧水巡り-1:「八王子湧水めぐり」
湧水巡り-2/子安神社(中野山王)前編:「池の淵から澄んだ水が次々と」
湧水巡り-3/子安神社(中野山王)後編:「木立の中のお社」
湧水巡り-4/横川弁天池(横川町):「錦鯉が泳ぐ湧水の池」
湧水巡り-5/叶谷榎池(叶谷町):「樹齢数百年を超える榎と湧水」
湧水巡り-6/六本杉公園(子安町):「アジサイの花に囲まれた湧水」
湧水巡り-7/真覚寺(散田町)前編:「湧水の庭園と蛙合戦の伝説」
湧水巡り-8/真覚寺(散田町)後編:「観音堂と高宰神社」散田町
湧水巡り-9/子安神社(明神町)前編:「御神池と安産祈願の底抜け柄杓」明神町
湧水巡り-10/子安神社(明神町)後編:「境内にある十二社のお社」明神町
湧水巡り-11/片倉城址公園(片倉町)前編:「水車が回る菖蒲田」(当記事)
湧水巡り-12/片倉城址公園(片倉町)後編:「湯殿川沿いを散歩」
湧水巡り-13/小宮公園(大谷町・暁町)前編:「大谷沢と大谷弁天池」
湧水巡り-14/小宮公園(大谷町・暁町)後編:「雑木林の谷地にある湧水」
by u-t-r
| 2017-01-24 16:00
| 八王子の公園