八王子の公園/湧水巡り9/子安神社-明神町(前編)
2017年 01月 10日
八王子の公園-第14話-八王子湧水巡り-9
子安神社/八王子市明神町(前編)
神池と安産祈願の底抜け柄杓
八王子湧水巡りで取材に行った子安神社は2か所ありました。1社目は湧水量が豊富な中野山王の子安神社、もう1社は今回撮影した八王子駅北口の明神町にある子安神社です。主神が木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)、御祭神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)、素盞鳴尊(すさのをのみこと)、大山咋命(おおやまくいのみこと)、奇稲田姫命(くしいなだひめのみこと)、大山咋命(おおやまぐいのみこと)の四柱。
子安神社は八王子市最古の神社で、今を去る千二百余年前の天平宝字3年(759年)、橘右京少輔なる者、時の帝の皇后の御安産祈願のため草創と伝えられています。以後安産の神として近郷の崇敬はもとより、古来の武将の尊崇も篤く源義家が奥州下降の際には戦勝を祈念して欅(けやき)十八本を奉納、船形に植樹された欅はやがて森となり、以降この森を「船森」と称しました。子安神社に隣接する舟森公園や舟森保育園など、現在に至るまで地名として残っています。
鎌倉時代末期には楠正成の居城として、難攻不落とされた赤坂城合戦の折の勇士として太平記の美分に綴られた人見四郎入道光行寄進の神櫃がありました。近世では徳川三大将軍家光以降代々の将軍家より朱印を受けたことにより、徳川家の家紋である三つ葉葵が子安神社の御紋です。拝殿上部の鳥衾(とりぶすま)や鬼門(おにもん)、大鳥居上部の「島木(しまぎ)」、手水場などに金色の三つ葉葵紋が付いていました。
境内へ
撮影日はちょうど「泣き相撲」が終わった翌日の9月23日。社務所の方が後片付けをしていました。毎年秋分の日には「泣く子は育つ」の故事ににならって、赤ちゃんに泣き声を競わせる子安神社の伝統行事が開催されるのです。
「泣き相撲」は神楽殿で行われます。泣いた子が勝ちで、泣かないと行司の負けというルール。記念に額に「祈祷」のスタンプを捺してもらえます。
大きな楓の木の下に縁結びの絵馬掛所がありました。絵馬は2色です。ピンクは女の子、緑は男の子用なのかしらね。
えんむすび守
おまもりに結ばれている赤い糸は
あなたの思いが、結ばれる事を願い
神社境内のむすび棚にむすび
おまもりは大切に、お持ちください。
拝殿と神水殿
子安神社の拝殿です。階段の前で赤ちゃんを連れたご家族が記念写真を撮っていました。お父さんがカメラマンじゃ全員が写らないので「シャッター押しましょうか?」。最近のカメラって連写が速くって、バシャバシャ何枚も撮ってしまいました。ごめんなさーい!
拝殿の横にあるのは神水殿。子安の主神である木花開耶姫命の像が安置されています。
像の下は手水鉢になっていて、柄杓で水を汲めるようになっています。
神水殿に底抜け柄杓を奉納して安産を祈願するのが神水殿のご利益です。底抜け柄杓は母体を表し、水が抜けるように安産であります様にと願いを込め、ご妊婦さまご自身で神様に奉納いたします。他に岩田帯(腹帯)も頒布されていて、は五ヶ月目の戌の日に巻いていただきます。出産後には、お母様の体に巻いていただいたものは、赤ちゃんの為に使ってあげると良いと言われていますので、体を拭くのに使ってあげて下さい。
柄杓には2種類あって、底が抜けていない柄杓は子授け祈願です。子供は古来より神様からの授かり物というように、子安神社には子授け祈願に多くの人がお参りに来ます。底あり柄杓はかぐや姫の話にのっとり竹筒を奉納し子供が授かるようにとの願いを表します。
拝殿にはたくさんの柄杓が奉納されていました。
御神池(ごしんち)
橘右京少輔が現在の地に神社を創建したのは、流れる湧き水の美しさに魅了され、この土地こそ神社の創建にふさわしいと考えたと思われます。その後、お后様に無事に御子が誕生したことから、それ以降、子安神社の池は安産の象徴として崇敬を集めています。
入口の右横にコイのエサ売場。1つ100円というリーズナブルなお値段です。買っていこうっと♪
池に通じる道の入口左には俳句が刻まれた石碑があります。俳人・山口誓子は子安神社をご参詣された際にこの地のご利益・ご神徳を俳句にしました。
湧き出づる
清水も産みの
安らかに
鳥居をくぐって御神池(ごしんち)へ下ります。
途中から階段になっていますが、手すり付きなので安心です。
石段の端が排水路になっていて、湧き水がチョロチョロ流れていました。湧水量が豊富なんでしょうね。
下りたところが御神池です。出島のような岩場に厳島神社がありました。新篇武蔵風土記等の古書にも船森弁天池と記されているそうです。元は弁天様だったのかもしれません。
御神池の全景です。池の大きさや水深からみて、最大201リットル分の六本杉公園より湧水量が多そう。(クリックで拡大)
御神池の鯉
鯉は池の中心付近に集まっていました。エサを投げても届きそうもない〜。
厳島神社の横からエサを投げ入れてみると…。
集まる!集まる〜!遠くからもイソイソと鯉たちがやってきました。手を叩かなくてもエサに惹かれて寄ってきます。
出て来い、出て来い、池の鯉
底の松藻のしげった中で
手のなる音を聞いたら来い
聞いたら来い
金魚たちもやってきました。鯉や金魚の舞い踊り♪わずか100円で紀伊国屋文左衛門気分です。「苦しゅうない!苦しゅうない!近う寄れ!」。御神池の鯉たちですが、雨の日や大雨の次の日・寒い日はエサを食べに出てこないそうです。水温が下がると食欲も下がるみたい。
後編では、子安神社の八社を巡ってみます。
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御神池の上に鉄のアームがついた大きな松明が架かっていました。松明で照らされる夜の池はみごとだろうなと社務所にお聞きしたところ、「故障中で現在は使えません」とのこと。がっかり
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取材協力:八王子市役所水循環部水環境整備課
八王子湧水巡り(全14話)
湧水巡り-1:「八王子湧水めぐり」
湧水巡り-2/子安神社(中野山王)前編:「池の淵から澄んだ水が次々と」
湧水巡り-3/子安神社(中野山王)後編:「木立の中のお社」
湧水巡り-4/横川弁天池(横川町):「錦鯉が泳ぐ湧水の池」
湧水巡り-5/叶谷榎池(叶谷町):「樹齢数百年を超える榎と湧水」
湧水巡り-6/六本杉公園(子安町):「アジサイの花に囲まれた湧水」
湧水巡り-7/真覚寺(散田町)前編:「湧水の庭園と蛙合戦の伝説」
湧水巡り-8/真覚寺(散田町)後編:「観音堂と高宰神社」散田町
湧水巡り-9/子安神社(明神町)前編:「御神池と安産祈願の底抜け柄杓」明神町(当記事)
湧水巡り-10/子安神社(明神町)後編:「境内にある十二社のお社」明神町
湧水巡り-11/片倉城址公園(片倉町)前編:「水車が回る菖蒲田」
湧水巡り-12/片倉城址公園(片倉町)後編:「湯殿川沿いを散歩」
湧水巡り-13/小宮公園(大谷町・暁町)前編:「大谷沢と大谷弁天池」
湧水巡り-14/小宮公園(大谷町・暁町)後編:「雑木林の谷地にある湧水」
子安神社/八王子市明神町(前編)
神池と安産祈願の底抜け柄杓
八王子湧水巡りで取材に行った子安神社は2か所ありました。1社目は湧水量が豊富な中野山王の子安神社、もう1社は今回撮影した八王子駅北口の明神町にある子安神社です。主神が木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)、御祭神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)、素盞鳴尊(すさのをのみこと)、大山咋命(おおやまくいのみこと)、奇稲田姫命(くしいなだひめのみこと)、大山咋命(おおやまぐいのみこと)の四柱。
子安神社は八王子市最古の神社で、今を去る千二百余年前の天平宝字3年(759年)、橘右京少輔なる者、時の帝の皇后の御安産祈願のため草創と伝えられています。以後安産の神として近郷の崇敬はもとより、古来の武将の尊崇も篤く源義家が奥州下降の際には戦勝を祈念して欅(けやき)十八本を奉納、船形に植樹された欅はやがて森となり、以降この森を「船森」と称しました。子安神社に隣接する舟森公園や舟森保育園など、現在に至るまで地名として残っています。
鎌倉時代末期には楠正成の居城として、難攻不落とされた赤坂城合戦の折の勇士として太平記の美分に綴られた人見四郎入道光行寄進の神櫃がありました。近世では徳川三大将軍家光以降代々の将軍家より朱印を受けたことにより、徳川家の家紋である三つ葉葵が子安神社の御紋です。拝殿上部の鳥衾(とりぶすま)や鬼門(おにもん)、大鳥居上部の「島木(しまぎ)」、手水場などに金色の三つ葉葵紋が付いていました。
境内へ
撮影日はちょうど「泣き相撲」が終わった翌日の9月23日。社務所の方が後片付けをしていました。毎年秋分の日には「泣く子は育つ」の故事ににならって、赤ちゃんに泣き声を競わせる子安神社の伝統行事が開催されるのです。
「泣き相撲」は神楽殿で行われます。泣いた子が勝ちで、泣かないと行司の負けというルール。記念に額に「祈祷」のスタンプを捺してもらえます。
大きな楓の木の下に縁結びの絵馬掛所がありました。絵馬は2色です。ピンクは女の子、緑は男の子用なのかしらね。
えんむすび守
おまもりに結ばれている赤い糸は
あなたの思いが、結ばれる事を願い
神社境内のむすび棚にむすび
おまもりは大切に、お持ちください。
拝殿と神水殿
子安神社の拝殿です。階段の前で赤ちゃんを連れたご家族が記念写真を撮っていました。お父さんがカメラマンじゃ全員が写らないので「シャッター押しましょうか?」。最近のカメラって連写が速くって、バシャバシャ何枚も撮ってしまいました。ごめんなさーい!
拝殿の横にあるのは神水殿。子安の主神である木花開耶姫命の像が安置されています。
像の下は手水鉢になっていて、柄杓で水を汲めるようになっています。
神水殿に底抜け柄杓を奉納して安産を祈願するのが神水殿のご利益です。底抜け柄杓は母体を表し、水が抜けるように安産であります様にと願いを込め、ご妊婦さまご自身で神様に奉納いたします。他に岩田帯(腹帯)も頒布されていて、は五ヶ月目の戌の日に巻いていただきます。出産後には、お母様の体に巻いていただいたものは、赤ちゃんの為に使ってあげると良いと言われていますので、体を拭くのに使ってあげて下さい。
柄杓には2種類あって、底が抜けていない柄杓は子授け祈願です。子供は古来より神様からの授かり物というように、子安神社には子授け祈願に多くの人がお参りに来ます。底あり柄杓はかぐや姫の話にのっとり竹筒を奉納し子供が授かるようにとの願いを表します。
拝殿にはたくさんの柄杓が奉納されていました。
御神池(ごしんち)
橘右京少輔が現在の地に神社を創建したのは、流れる湧き水の美しさに魅了され、この土地こそ神社の創建にふさわしいと考えたと思われます。その後、お后様に無事に御子が誕生したことから、それ以降、子安神社の池は安産の象徴として崇敬を集めています。
入口の右横にコイのエサ売場。1つ100円というリーズナブルなお値段です。買っていこうっと♪
池に通じる道の入口左には俳句が刻まれた石碑があります。俳人・山口誓子は子安神社をご参詣された際にこの地のご利益・ご神徳を俳句にしました。
湧き出づる
清水も産みの
安らかに
鳥居をくぐって御神池(ごしんち)へ下ります。
途中から階段になっていますが、手すり付きなので安心です。
石段の端が排水路になっていて、湧き水がチョロチョロ流れていました。湧水量が豊富なんでしょうね。
下りたところが御神池です。出島のような岩場に厳島神社がありました。新篇武蔵風土記等の古書にも船森弁天池と記されているそうです。元は弁天様だったのかもしれません。
御神池の全景です。池の大きさや水深からみて、最大201リットル分の六本杉公園より湧水量が多そう。(クリックで拡大)
御神池の鯉
鯉は池の中心付近に集まっていました。エサを投げても届きそうもない〜。
厳島神社の横からエサを投げ入れてみると…。
集まる!集まる〜!遠くからもイソイソと鯉たちがやってきました。手を叩かなくてもエサに惹かれて寄ってきます。
出て来い、出て来い、池の鯉
底の松藻のしげった中で
手のなる音を聞いたら来い
聞いたら来い
金魚たちもやってきました。鯉や金魚の舞い踊り♪わずか100円で紀伊国屋文左衛門気分です。「苦しゅうない!苦しゅうない!近う寄れ!」。御神池の鯉たちですが、雨の日や大雨の次の日・寒い日はエサを食べに出てこないそうです。水温が下がると食欲も下がるみたい。
後編では、子安神社の八社を巡ってみます。
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御神池の上に鉄のアームがついた大きな松明が架かっていました。松明で照らされる夜の池はみごとだろうなと社務所にお聞きしたところ、「故障中で現在は使えません」とのこと。がっかり
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取材協力:八王子市役所水循環部水環境整備課
八王子湧水巡り(全14話)
湧水巡り-1:「八王子湧水めぐり」
湧水巡り-2/子安神社(中野山王)前編:「池の淵から澄んだ水が次々と」
湧水巡り-3/子安神社(中野山王)後編:「木立の中のお社」
湧水巡り-4/横川弁天池(横川町):「錦鯉が泳ぐ湧水の池」
湧水巡り-5/叶谷榎池(叶谷町):「樹齢数百年を超える榎と湧水」
湧水巡り-6/六本杉公園(子安町):「アジサイの花に囲まれた湧水」
湧水巡り-7/真覚寺(散田町)前編:「湧水の庭園と蛙合戦の伝説」
湧水巡り-8/真覚寺(散田町)後編:「観音堂と高宰神社」散田町
湧水巡り-9/子安神社(明神町)前編:「御神池と安産祈願の底抜け柄杓」明神町(当記事)
湧水巡り-10/子安神社(明神町)後編:「境内にある十二社のお社」明神町
湧水巡り-11/片倉城址公園(片倉町)前編:「水車が回る菖蒲田」
湧水巡り-12/片倉城址公園(片倉町)後編:「湯殿川沿いを散歩」
湧水巡り-13/小宮公園(大谷町・暁町)前編:「大谷沢と大谷弁天池」
湧水巡り-14/小宮公園(大谷町・暁町)後編:「雑木林の谷地にある湧水」
by u-t-r
| 2017-01-10 16:00
| 八王子の公園