花と山野草/裏高尾(3月)

春の裏高尾に咲く花たち(3月)
裏高尾/八王子市裏高尾町
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裏高尾は旧甲州街道沿いに広がる地域で、高尾山の北側に位置します。毎年3月に梅まつりが開催される場所としても有名ですね。約10,000本の紅白の梅が咲き誇るその下で、春の草花たちもひっそりと花開いていました。そのすべてが山野草というわけではなく、園芸品種が野草化したものも元気に咲いています。作家 武者小路実篤氏は「人見るもよし 人見ざるもよし 我は咲くなり」と書いています。誰も見ていなくても、誉められなくても花は咲くんです。

小仏

小仏バス停近くのせせらぎを覆うように育っていたのはヤブソテツ。普通の草花の葉のようですが、花を咲かせることはなく、葉裏に胞子嚢(ほうしのう)を持っています。花言葉はありません。花言葉の付いていない草花ってけっこう多いんですよ〜。いわゆる雑草だったり、花が地味だったりすると。
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大下

木下沢梅林までの道は民家の庭先を歩くような景色です。右手に中央本線と小仏川、左手に旧甲州街道と民家。車同士すれ違うのがやっとの道幅です。木陰の空き地にヒマラヤユキノシタ(ヒマラヤ雪の下)が咲いていました。葉はユキノシタと同じかたちですが、花はまるでアジサイのよう。それもそのはず、同じアジサイ科なんです。原産地はヒマラヤ山脈で、高温多湿と強い光線が苦手な植物だそう。花言葉は「深い愛情」「情愛」「順応する」「忍耐」。
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枯れ葉の中から顔を出しているのはホトケノザ(仏の座)。葉の見た目どおりシソ科の植物です。名前の由来は、半円形の葉が茎を取り囲んでつくようすを蓮華座(れんげざ)に見立てたところから。日本では、北海道以外の本州、四国、九州、沖縄に自生しています。花言葉は「調和」「輝く心」。なにせ仏さまですから。
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民家の塀の上で濃い赤ワイン色の実を結んでいたキヅタ(木蔦)。植物は、花が咲いていないと特定がむずかしいのですが、実に特徴があるため簡単でした。原産地はヨーロッパ、北アフリカ、西アジアで、秋にイチジクに似た黄緑色の小さく目立たない花を咲かせます。花言葉は「永遠の愛」「友情」「不滅」「結婚」。愛と友情は両立するものなのか…。
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畑の横の荒れ地に咲くのはビオラ。ヨーロッパに自生する野生種から育種されました。シェイクスピアの戯曲「夏の夜の夢」の中ではパンジー(花の大きいビオラ)が惚れ薬として登場します。眠っている間に花の汁をまぶたに塗られると、目覚めた時、最初に見た人を好きになってしまうというもの。花言葉は「思慮深い」「物思い」「私を想ってください」。あら可愛い!
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石垣の間から顔を出したタツナミソウ(立浪草)は、ヒメオドリコソウと同じシソ科の植物で、日本固有種です。ちっちゃな紫の花は皆さんの身近でもよく見られるはず。花言葉は「私の命を捧げます」。演歌のようだ。
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他の草花たちをかき分けて花をつけるアオイスミレ。日本原産のスミレ科植物の一つです。今年の裏高尾は例年より気温が低かったのか、スミレが少なめでした。花言葉は「温順」「謙虚」「慎み深さ」「愛」「純潔」「誠実」「小さな幸せ」。
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スミレのすぐ近くに咲いていたのは、淡い青紫色をしたハナニラ(花韮)。別名は西洋甘菜。原産地はアルゼンチンです。明治時代に観賞用の園芸植物として導入され、のちに帰化植物となりました。
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こちらは白のハナニラ(花韮)、葉っぱをちぎると名前のとおりニラのにおいがしますが、野菜のニラとはさほど近い仲間ではありません。花言葉は「別れの悲しみ」「耐える愛」「星に願いを」。うなだれちゃってるしねぇ。
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石垣のほんのわすかな隙間に根づいて青い花を束のように咲かせるムスカリ。原産地は地中海沿岸と南西アジアです。花がブドウの実のように見えることから別名:ブドウヒヤシンス、水栽培でおなじみのヒヤシンスとは非常に近縁の植物です。花言葉は「通じ合う心」「寛大な愛」「明るい未来」がある反面、「失望」「失意」「絶望」と正反対の言葉も。どうやら花の紫色からのイメージらしい。こんなに可愛らしいのに。
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ちっちゃな白い花はミチタネツケバナ(道種漬花)です。原産地はヨーロッパ・東アジア。大陸から稲作とともに渡来した帰化植物です。花言葉は「勝利」「不屈の心」「情熱」「熱意」「燃える思い」。いや、稲に勝っちゃだめでしょう。
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摺差

民家の垣根から顔を出したミツマタ(三椏)。中国中南部・ヒマラヤ地方が原産地で、和紙の原料として有名です。日本の紙幣は今でもこのミツマタを原料としています。花言葉は「強靭」「意外な思い」「肉親の絆」「淡白」。丈夫ですもん。
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ミツマタの花のアップです。美味しそうだなぁと思って調べてみたら、花や蕾を乾燥させたものを生薬として用いることはあるものの、食用には適さないそう。
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もしゃもしゃした柔らかそうな葉と暗赤色の花、石垣の隙間に根付いたオキナグサ(翁草)です。万葉集にも「ねつこぐさ」の名で詠まれ、古くからある山野草ですが、近年は各地で激減しており、環境省のレッドリスト(2007)では、絶滅危惧II類(VU)に登録されています。花言葉は「何も求めない」「告げられぬ恋」「清純な心」「華麗」「奉仕」の反面、「背信の愛」「裏切りの恋」「背徳の恋」「心の闇は内に隠して」という暗い一面も。
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石垣の隙間で這うように伸びたヒメツルソバ。小さい桃色の花が球状に集まって、まるで金平糖のようです。ヒマラヤ原産の植物で日本には明治時代にロックガーデン用に導入された植物です。花言葉は「 愛らしい」「気が利く」「愛らしい」「思いがけない出会い」。
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ムラサキハナナ(紫花菜)。中国原産で、日本には昭和10年(1935年)頃に輸入されました。今では春になると土手や畑や線路脇などで、淡紫色の花が一面に咲く姿をよく見かけます。園芸種として入ってきて野生化した花ってけっこう多いんです。ヒメジョオンが代表選手。花言葉は「優秀」「競争」。生存競争に自信あり!って感じ。
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畑の下の排水溝に何か野菜が1株だけ脱走していました。大根にも見えるし、育ちすぎたキャベツのようにも見える。この野菜はノラボー(のらぼう菜)です。江戸時代から西多摩地方で栽培されてきた野菜で、収穫後はしおれやすいため、生産地付近でのみ消費される地方野菜として受け継がれてきました。ちょっと前に栽培農家さんで撮ってきました。
→今熊のノラボー
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by u-t-r | 2016-06-14 16:00 | 花と山野草

UTR不動産です。八王子の歴史や暮らしをコツコツ取材しています。基本は「現地で直接お話しを聞く!」。地元の話題が多いですが、どうぞお付き合いのほどを。


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