賃貸管理日記/しあわせ物件
2009年 11月 24日
しあわせ物件
見るからに人のよさそうな大きなわんこ、名前をウィル君と申します。「飼うなら売ってる子じゃなくて、不幸な子をもらって育てたい」と考えたオーナー様、飼い主さんに遺棄されたペットの収容施設からラブを引き取り、一緒に暮らすことを選びました。まだ6か月の子犬だったそうです。最初はブルブル震えて、なかなか人に慣れてくれなかった幼いウィル君。そりゃそうだ。苦労したんだものね。
以来、飼い主さんの愛情をたっぷり受けて、すっかり人なつっこいわんこに育ちました。知らない人が訪れても警戒心ゼロ。撫でてもらうのが大好きで、頭をぺたっと地面に付けて伏せをしちゃいます。上目づかいにチラッチラッと見上げるのがまたかわいい。「番犬にはちと不向きかな(笑)」とオーナー様。いいおうちにもらわれてよかったねウィル君。
ウィル君を引き取って育てた心優しきオーナー様。奥様が作ったお料理を独身世帯にお裾分けしたり、畑の野菜を皆さんに配ったり。入居者の若いお母様が亡くなった時には、残された小さいお子さんを一生懸命お世話していらっしゃいました。
ところで、今日の主役はウィル君ではありません。
どこにでもある、一見ごく普通のお部屋のお話し。
不思議なお部屋
当社扱い物件の中には「しあわせ物件」としか形容できないようなお部屋がいくつかあります。住んだご家族が皆さん健やかに暮らされて、念願のマイホームを購入されて退去されたり、事業をされている方が成功して手狭になり、発展的に出ていかれるといったケースが続いています。特に日当りや立地がいいというわけでも、他の物件と比べて特別変わった作りでもなく、ごくごく平凡なお部屋、これといった共通点はありません。何とも不思議な現象です。
ご家族が幸せになる2DK
駅から比較的近い6畳二間にキッチンがついた、とあるファミリー向け物件。ついこの間もマイホームを購入されたご家族が退室されました。新婚でご入居され17年間お住みいただく間に、お嬢さんと息子さんが生まれた元気な4人家族です。お子さんたちの成長にともない、男女別々の部屋を確保したいとのことで、戸建住宅を購入されたのが退去の理由。
奥様がとてもきれい好きな方で、お風呂場からベランダにいたるまでいつも磨き上げていらっしゃいました。そういうお部屋は玄関を開けた瞬間に分かります。退去後のお部屋は、壁紙や天井こそ過ぎた年月を感じさせるものの、とても17年間誰かが住んだとは思えない汚れひとつない床、お手入れしにくいサッシのレールも新品のようにピカピカです。まるで自分のもののように大切に使われていたのでしょうね。不動産屋の経験から申しますと、後でマイホームを購入される賃貸マンション住まいの方は、きれいに使う方が多いのです。
お部屋をきれいにされる方は、共有スペースも気になります。共用灯の球切れや、雑草除去の連絡をマメにくださるのも奥様でした。解約のお申し出に来られた際は「いつも問合せにきちんと対応してくれてありがとう。さぞうるさい住人と思われたでしょうね」と感極まって泣き出されてしまいました。ついつい私ももらい泣き。
このマンション、住んでいる方同士があいさつを交わし合う美しい習慣があるんです。お部屋のお隣に住んでいたAさんご家族。お母様が「Aさん、あのね」などと呼ぶものですから、3〜4才の娘さんまで「Aさん! Aさん」と可愛い声で呼んでいました。この方も相前後してマイホームを購入され出ていかれます。この手のエピソードにはこと欠かない物件でした。
入れ替わりがないアパート
こちらは駅から徒歩25分、駐車場なしと、どちらかというと不便な場所に建っている2Kのアパート、皆さん独身の男性です。当社がお世話するようになって10年以上経ちますが、その間、1回も入退去がありません。こんな現象はこのアパートだけです。その前から住んでいらっしゃる方がほとんどなので、いったいどのくらいの年数になるのやら。ず〜〜っとお部屋が埋まったままの状態です。
このご時勢では、一度空室になるとなかなか次の方が決まらないのです。空室が増えると、不動産会社はオーナー様ともどもお互い気が気じゃありません。満室が続くに越したことはないのですが、ここまで入れ替わりがないのも珍しい。
考えてみれば、長年隣のお部屋と顔見知りの気安さがあるのかもしれません。住めば近所になじみの店もできます。オーナー様がまたおおらかな方で、ついこの間はまだ壊れてもいないのに全室のガス釜を交換していらっしゃいました。優しいオーナー様にも恵まれて、さぞ住み心地がいいんでしょうねぇ。
事業が成功する物件
比較的駅から近いものの、大きな道路に面しているわけでもなく、やはりこれといった特徴がない事業用物件。契約いただいた事業者様は、金型製作、ICチップ設計、レンズ磨き、印刷会社と、これまた業種に関連性がないお客様がご利用です。強いて共通点を上げれば、小規模な会社でまかなえる業種であること、徒歩圏なので交通費がかからないことくらいでしょうか。事業の発展にともない、従業員が増え、手狭になって新しい場所に引っ越していかれるのが恒例になっています。
中には、創業社長様が引退され、別の方が後を継がれた会社様もありました。それでもこの不況下に変わらず成長し続けているのですから、神がかり的としか思えません。最近も手狭になったからと別の物件をご紹介したところです。
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一番最初に書いたウィル君の住むお宅。先代わんこも同じ施設から兄妹で引き取られて天寿を全うしました。人間と同じように、わんこにとってもしあわせ物件だったんでしょうね。
今日もご入居希望の方が窓口に。住む方がなかなか出ないので、空き室が出ることは稀です。空いたら空いたですぐ次の方が決まり、また満室状態に戻ってしまいます。不思議なことに、そのお部屋を選ぶ方は、なぜか代々同じような雰囲気のお客様なのです。「あぁ、あのお部屋ね」で社内に通じてしまう「しあわせ物件」。ご興味のある方は一度見に来ませんか?
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見るからに人のよさそうな大きなわんこ、名前をウィル君と申します。「飼うなら売ってる子じゃなくて、不幸な子をもらって育てたい」と考えたオーナー様、飼い主さんに遺棄されたペットの収容施設からラブを引き取り、一緒に暮らすことを選びました。まだ6か月の子犬だったそうです。最初はブルブル震えて、なかなか人に慣れてくれなかった幼いウィル君。そりゃそうだ。苦労したんだものね。
以来、飼い主さんの愛情をたっぷり受けて、すっかり人なつっこいわんこに育ちました。知らない人が訪れても警戒心ゼロ。撫でてもらうのが大好きで、頭をぺたっと地面に付けて伏せをしちゃいます。上目づかいにチラッチラッと見上げるのがまたかわいい。「番犬にはちと不向きかな(笑)」とオーナー様。いいおうちにもらわれてよかったねウィル君。
ウィル君を引き取って育てた心優しきオーナー様。奥様が作ったお料理を独身世帯にお裾分けしたり、畑の野菜を皆さんに配ったり。入居者の若いお母様が亡くなった時には、残された小さいお子さんを一生懸命お世話していらっしゃいました。
ところで、今日の主役はウィル君ではありません。
どこにでもある、一見ごく普通のお部屋のお話し。
不思議なお部屋
当社扱い物件の中には「しあわせ物件」としか形容できないようなお部屋がいくつかあります。住んだご家族が皆さん健やかに暮らされて、念願のマイホームを購入されて退去されたり、事業をされている方が成功して手狭になり、発展的に出ていかれるといったケースが続いています。特に日当りや立地がいいというわけでも、他の物件と比べて特別変わった作りでもなく、ごくごく平凡なお部屋、これといった共通点はありません。何とも不思議な現象です。
ご家族が幸せになる2DK
駅から比較的近い6畳二間にキッチンがついた、とあるファミリー向け物件。ついこの間もマイホームを購入されたご家族が退室されました。新婚でご入居され17年間お住みいただく間に、お嬢さんと息子さんが生まれた元気な4人家族です。お子さんたちの成長にともない、男女別々の部屋を確保したいとのことで、戸建住宅を購入されたのが退去の理由。
奥様がとてもきれい好きな方で、お風呂場からベランダにいたるまでいつも磨き上げていらっしゃいました。そういうお部屋は玄関を開けた瞬間に分かります。退去後のお部屋は、壁紙や天井こそ過ぎた年月を感じさせるものの、とても17年間誰かが住んだとは思えない汚れひとつない床、お手入れしにくいサッシのレールも新品のようにピカピカです。まるで自分のもののように大切に使われていたのでしょうね。不動産屋の経験から申しますと、後でマイホームを購入される賃貸マンション住まいの方は、きれいに使う方が多いのです。
お部屋をきれいにされる方は、共有スペースも気になります。共用灯の球切れや、雑草除去の連絡をマメにくださるのも奥様でした。解約のお申し出に来られた際は「いつも問合せにきちんと対応してくれてありがとう。さぞうるさい住人と思われたでしょうね」と感極まって泣き出されてしまいました。ついつい私ももらい泣き。
このマンション、住んでいる方同士があいさつを交わし合う美しい習慣があるんです。お部屋のお隣に住んでいたAさんご家族。お母様が「Aさん、あのね」などと呼ぶものですから、3〜4才の娘さんまで「Aさん! Aさん」と可愛い声で呼んでいました。この方も相前後してマイホームを購入され出ていかれます。この手のエピソードにはこと欠かない物件でした。
入れ替わりがないアパート
こちらは駅から徒歩25分、駐車場なしと、どちらかというと不便な場所に建っている2Kのアパート、皆さん独身の男性です。当社がお世話するようになって10年以上経ちますが、その間、1回も入退去がありません。こんな現象はこのアパートだけです。その前から住んでいらっしゃる方がほとんどなので、いったいどのくらいの年数になるのやら。ず〜〜っとお部屋が埋まったままの状態です。
このご時勢では、一度空室になるとなかなか次の方が決まらないのです。空室が増えると、不動産会社はオーナー様ともどもお互い気が気じゃありません。満室が続くに越したことはないのですが、ここまで入れ替わりがないのも珍しい。
考えてみれば、長年隣のお部屋と顔見知りの気安さがあるのかもしれません。住めば近所になじみの店もできます。オーナー様がまたおおらかな方で、ついこの間はまだ壊れてもいないのに全室のガス釜を交換していらっしゃいました。優しいオーナー様にも恵まれて、さぞ住み心地がいいんでしょうねぇ。
事業が成功する物件
比較的駅から近いものの、大きな道路に面しているわけでもなく、やはりこれといった特徴がない事業用物件。契約いただいた事業者様は、金型製作、ICチップ設計、レンズ磨き、印刷会社と、これまた業種に関連性がないお客様がご利用です。強いて共通点を上げれば、小規模な会社でまかなえる業種であること、徒歩圏なので交通費がかからないことくらいでしょうか。事業の発展にともない、従業員が増え、手狭になって新しい場所に引っ越していかれるのが恒例になっています。
中には、創業社長様が引退され、別の方が後を継がれた会社様もありました。それでもこの不況下に変わらず成長し続けているのですから、神がかり的としか思えません。最近も手狭になったからと別の物件をご紹介したところです。
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一番最初に書いたウィル君の住むお宅。先代わんこも同じ施設から兄妹で引き取られて天寿を全うしました。人間と同じように、わんこにとってもしあわせ物件だったんでしょうね。
今日もご入居希望の方が窓口に。住む方がなかなか出ないので、空き室が出ることは稀です。空いたら空いたですぐ次の方が決まり、また満室状態に戻ってしまいます。不思議なことに、そのお部屋を選ぶ方は、なぜか代々同じような雰囲気のお客様なのです。「あぁ、あのお部屋ね」で社内に通じてしまう「しあわせ物件」。ご興味のある方は一度見に来ませんか?
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by u-t-r
| 2009-11-24 21:06
| 賃貸管理日記(一般)